カテゴリー別アーカイブ: 弦楽器製作

裏板ボトムブロックの端付近も確認してください。

ご存じな方も多いように 弦楽器製作を取り巻く環境は 1980年代後半からとても良くなりました。

デジタルカメラの高性能化、データ処理技術の向上、そしてインターネットの普及などによる情報交換の高速・広域化は 私にとってめまいを感じるほどのスピードでした。

そして 気がつけば  “オールド・バイオリン” などについての資料が容易に集められる時代となっていました。

Giuseppe Guarneri del Gesù  /  The back thickness
VIENNA micro-CT LAB

こうして‥ グアルネリ・デル・ジェズとされるヴァイオリン裏板の厚さをながめたり、ヤコブ・シュタイナーのそれを知ることができる訳ですから 時代とはいえ 不思議なものだと思います。

Jacob Stainer   /  The back thickness

これらの追い風もうけて‥  私は “オールド・バイオリン”の表板、 裏板にみられる響きにつながる要素と そのへりのオーバーハング部に特徴的な加工がしてあること、そしてコーナーブロックの形状は 音響的目的のために関係( Relation )させてあると考えるようになりました。


私は この連続性こそが “オールド・バイオリン” の発音システムの “失われた技術”の正体であると思っています。

左図では 左側角が振動の起点となり奥の角がリレーションすることで「  ゆるみ 」が生まれます。また右図は対称型で 左側角の起点と手前の角がリレーションします。

ヴァイオリンやチェロ、ビオラなどは F字孔周りの振動と 共鳴部の響きによって独特の音色を生みだしています。私は この発音システムが その時に共鳴部に十分な “ゆるみ”を発生させる役割を果たしていると考えるようになりました。


そこで “オールド・バイオリン”などの高性能型を区別するためのチェック・ポイントとして、私は上図 a. の裏板ボトムブロックの端付近( 高音側 )の剛性差を確認することを皆さんにおすすめしたいと思います。

この例として アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられるヴァイオリンと ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) の 1651年製、そして アントニオ・ストラディヴァリの 1733年製から その部分の画像を並べてみました。
左側の アンドレア・アマティ ( ca.1505-1577 ) のヴァイオリンにおける 点 A の剛性差については異論がないと思います。

そして‥ もし判断が分かれるとすると、あとの二台ですね。

これが意図的な剛性差のための加工と確信するには 下図の 赤線辺りが 響胴のねじり軸として機能するとスムーズにゆるみが生じることを理解する必要があるのではないでしょうか。

“Thickness”   G.B. GUADAGNINI ( 1711-1786 )  Cellos
1743年頃 & 1757 年

そのために‥ 少し話がそれて恐縮ですが 下に私の過去の投稿をあげさせていただきます。

【 ヴァイオリンの音は聴くほかにも “見て‥” 知ることが出来ます。】

弦楽器の表板は スプルース材の年輪がたてになるように使用されています。そのため縦に割れやすい特性があり それが影響してこのチェロの魂柱部には縦方向の割れ( Sound post Crack )が入っていて 表面のニスにも 縦方向のひび割れがはいっています。


私はこのニスに入った縦ひび( a. )はバランスが調和していなかったことで歪みが溜まり 表板が疲労した過程できざまれたものと思っています。

では b. c. そして d. のひび割れはなぜ入ったのでしょうか?
私は この年輪に直交するひび割れは チェロやヴァイオリンに設定された音響システムによって入ったものと考えます。

因みに‥ 私がこのように ニスのひび割れと響きを関係づけて考えるようになったのは  2003年 9月29日 の 16:45頃からです。

長くなりますが、ここで その時のお話をさせて下さい。

それは 2週間前まで 11歳の長女が使っていた 1/2サイズのヴァイオリンを 7歳の二女が使いたいと言い張ったので 、その準備として 弦などの交換を検討するために 工房の入り口に立ってこのヴァイオリンを私がチェックしている時のことでした。

風もなく空が晴れわたったおだやかな夕方で 私が立っている工房の入り口には まだ日差しがさしこんでいました。

そのときニスのひび割れが 『 キラッ ! 』と蜘蛛の糸のように光ったのが 私の目にとびこんできました。 それで私は このヴァイオリンの表板と側板にはいった ニスのひびを確認してみました。 はじめは 『  なるほど。 分数ヴァイオリンでも フルサイズとおなじ入り方をするんだ‥‥ 。』と思いながら観察していたのですが、 当時 私が記憶していた他の事例とあまりにも合致していたので 『  これは‥ もしかして! 』と思ったときに 私の顔色は変ったと思います。

それまでニスのひび割れを特に重大なことと思っていなかった私でしたが、このときヴァイオリン響胴の振動モードとそれが きちんと繋がったのです。 私はこのとき『  ヴィジョンが降りてきた‥‥ 。』感覚のなかで 『  いま自分の頭のなかにうかんでいるヴァイオリンのヴィジョンは本当なのかな? 』と 戸惑いながらも楽器の角度を変えたりしながら観察して、もう一度 頭にうかんだ ヴァイオリンの振動モードに誤りがないかを検討しました。

その最中のことです。  私が表板側と側板に気をとられてよくみていなかった 裏板がレイヤー映像のように頭のなかに浮かんだのです。 『  表板がこう振動して側板はブロックによって こう動き‥ということは裏板のここら辺りにこういう形状のニスひびが‥‥ 。』と 私は 独り言をいいながら 裏板を見るために ヴァイオリンをひっくり返しました。

いまでも その瞬間をときどき思い出します。
とにかく感動しました。  私が予測したとおりの形状の小さなニスひび割れが 裏板の推定した位置に 入っていたのです。 おかげさまで 私は 鉱山技師が鉱脈を発見したような 歓びを経験しました。

下の図は そのニスひびを 2005年になって 私のノートに記録したものです。


この時に私がはじめに気がついたのは下幅広部に真横に入っているニスひびが テールピースの下で繋がっておらず 魚のウロコ状のニスひびとなっている事でした。

それで私は このニスひびは ボトムブロックの端付近( 高音側 )の点 a. から ゆれがはじまる”ねじり”によるものと判断したのです。

その証拠に反対側のネックブロック部をみると 点 b. 辺りからブロックのねじりによるニスひびがはいっています。

【  弦楽器のニスに入ったヒビが物語ること‥。】


このような ネックブロックのねじりは上の動画で確認できます。
おそらく撮影の都合だと思いますが鏡像になっていますので ネックブロックは手前側が高音でその奥が低音側となっています。

“Varnish crack”   1970年製     Karl Hofner Cello( 2006年撮影 )

それから 私が上図で – 7.0° としているねじりの軸線は 下にあげさせていただいた アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) が 1679年に製作したヴァイオリンの “サンライズ”の裏板年輪の木取を参考にしました。

私はこれらの仮説と状況証拠によりその楽器が “オールド・バイオリン”の音響システムに基づいているかを確認するために 裏板ボトムブロックの端付近( 高音側 )の”意図的”な剛性差の痕跡を確認することは重要と考えています。


最後に実例として アンドレア・アマティ ( ca.1505-1577 ) が 1566年頃に製作したと考えられるヴァイオリンをあげると‥  裏板へりのオーバーハングの差異は小さかったとしても、点 B. のひび割れを この楽器の特質のひとつと見ることが出来ると思います。

これにより 少なくとも 下に並べた 1555年頃のヴァイオリンと同じ製作者によると考えても違和感はないのではないでしょうか?

このように音響システムの視点を持ちながら 弦楽器を観察すると “オールド・バイオリン” と贋作の違いは 意外と見分けやすいのではないかと 私は思います。

 

2017-2-09                 Joseph Naomi Yokota

裏板 右回転 21°~23°位置 のオーバーハングについて

 

私は “オールド・バイオリン”の特徴である、へり部分の側板からオーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分があることは音響的に重要と考えています。

 

Andrea Amati  ( ca.1505-1577 ) ,   Violin “Charles Ⅸ”  1566年頃

これは 裏板の焼いた針などでつけられた痕が明瞭なヴァイオリンで確認すると、オーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分は 直線状の軸線に対応している事からも同意していただけると思います。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

例として アンドレア・アマティのヴァイオリンで確認してみましょう。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

このヴァイオリンは 裏板 右回転 22.4°位置の下端部オーバーハングがかなり削り込まれているようです。

このように “オールド・バイオリン”では ライニングのすぐ近くまで削られたヴァイオリンが何台も存在します。

但し、ここまで削り込む加工がされたものは 16世紀から 19世紀までの弦楽器のなかでは割合としては極少数派です。

上図のように ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) や アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) のヴァイオリンでは オーバーハング部の削り込みは外見上の違和感が少ない仕上げとなっています。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

Nicolò Amati ( 1596–1684  ) ,  Violin 1651年

Antonio Stradivari ( 1644-1737 )  Violin  “Rode – Le Nestor”  1733年

いずれにしても下図のように左下コーナー部で パフリングの外側の幅を確認したあとで 左下部のパフリングの外幅を見てみると、あきらかに差異があることが分るのではないでしょうか。

2017-2-04                 Joseph Naomi Yokota

それが本物の”オールド・バイオリン”でしたら 裏板の マークを確認してください。

 

私は”オールド・バイオリン” の特徴を確認 するときは 裏板駒下部と その左下に焼いた針などでつけられた マークが無いかを調べます。

例えば アントニオ・ストラディヴァリが製作したとされるヴァイオリン “ローデ” の裏板には下写真のような位置に それが見られます。
Antonio Stradivari ( 1644-1737 ),  Violin  “Rode / Le Nestor” 1733年

参考にして頂くために‥ このストラディヴァリウスと クレモナ派の始祖と伝えられる アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられるもの、そして その孫である ニコロ・アマティが その 100年ほど後に製作したヴァイオリンの画像を並べました。

A、点 B は3台とも同じ座標です。

これを観察すると ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) の弟子である アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) が アンドレア・アマティ( ca.1505–1577 )の 170年以上も後に、その製作方法を誠実に受け継いでいたことが感じられると思います。

私はこのようにして比較対象をしながら”オールド・バイオリン”の研究を進めました。

そのなかで 、参照のためにあげた アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられる このヴァイオリンが 非常に重要な意味をもっていると考えるようになりました。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin 1555年頃

なぜなら、この楽器は “オールド・バイオリン” に多数入っている焼いた針などでつけられた痕が直線状の軸線として用いられたことを暗示しているからです。

これらのピン・マークを 高解像度の画像で確認していくと、下の参考写真のように それらが連なる軸線を何本も見出すことができます。

Antonio Stradivari ( 1644-1737 ),  Violin  “Rode / Le Nestor” 1733年

この作業は‥ 満天の星空をながめながら星座を探すのに似ていますが、細かい “点” ではなくもっとはっきりした “工具痕跡” として加工された マークをもつ楽器を参考にすれば ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) が 1651年に製作したとされるヴァイオリンのように 拡大すると細かい “点” が多数見られる楽器でも それほど難しくはありません。

私は それらの マークが連なる線が 正中線に対して右回転、あるいは左回転で何度にあたるかを画像ソフト上で確認して資料化しています。


Nicolò Amati ( 1596–1684  ) violin 1651年

例えば このヴァイオリンの高解像度画像では上のストラディヴァリウスと同じ 右回転 21.6度の位置に 14個の焼いた針痕を見ることができます。

また 私は下図のように 右回転 14.8度と 28.2度にも軸線を見出しました。

同じように観察をしていくと 下写真の アンドレアの息子たちである アントニオと ジローラモの兄弟が製作したとされるヴァイオリンでも 21.6度 には 10個の針痕があるようです。

 Antonio and Hieronymus Amati        Cremona 1629

私は このようにして基礎資料を増やしていきました。
そしてその後の研究により 結局これが”オールド・バイオリン” の発音システムに繋がっていることが解明できました。

そういう事で、これは 弦楽器を鑑定する場合にも強力な状況証拠となり得ますので 私は皆さんにヴァイオリンを調べる際は 高解像度の写真を撮影し‥ それを 拡大して焼いた針などで付けられたマークの位置関係を検証することをお奨めいたします。

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2017-2-03                 Joseph Naomi Yokota

私は 弦楽器製作者を目指す人に “デッサン” を推奨します。

 

古い投稿の続きで恐縮ですが、私は 2014年8月27日の
” 私はバイオリン製作者にも “デッサン力” が必要だと思います。”
の文中で デッサンを始めた四女のことをお話ししました。

彼女が初心者としてデッサンをはじめて 2年半ほど経過し、最近は 多少の成長がみとめられるようになりましたので 参考にしていただくために近作を公開することにしました。

先の投稿は私の妻が 18歳だったときのデッサンから話をはじめさせていただきました‥ 。


木炭デッサン (  A.F. YOKOTA  1978年 7月  )

デッサンは古くから絵画や彫刻、デザインや工芸などの創作活動においての基本として大切にされてきました。 これは人間の ” つくる力 “を向上させる‥ すぐれた教育効果が知られているためでした。

この場合の” つくる力 “には 観察する力、考える力、伝える力が含まれています。
つまり 物事を客観的に観察し、その構造を読みとることで課題を見つけ出し、細部にこだわりつつも全体を俯瞰しながら自らのしなやかな感性によった美的なかたちとして答えを導きだし‥ それを展開させる人間力をさします。

私は『 オールド・バイオリン 』を製作した人々も 同じように ” つくる力 “を磨く努力をいとわず、強い意志をもって弦楽器製作に取り組んでいたと信じています。

(  上記の” つくる力 “の定義は 平成27年度入試 東京藝術大学美術学部デザイン科の アドミッション ポリシーより引用させていただきました。)

   

 

デッサンの参考例として 私の妻がまだ 18歳だった 1978年に美術大学受験の訓練として描いた木炭デッサン( 上部 4枚 )と鉛筆デッサン( 下部 4枚 )を あげてみました。

一般社会では 絵が描けると その技術的な要素が着目され それを『 才能 』という言葉で捉えられがちですが、私は デッサンは 強い意志をもって基本から誠実に取り組んでいけば多くの人が上達することが可能と思っています。敢えてその言葉を用いるとすると デッサンが思ったように描ける人は 一定の努力を怠らなかったという点において『 才能のある人 』と言えるかもしれません。


静物 / 木炭デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 7月  )

私達は デッサンの経験を通じて培われた 物の本質を読み解く能力を “デッサン力” と呼んでいます。

鉛筆デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 9月 30日  )
    

静物 / 鉛筆デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 1月  )

これらのデッサンを描いた私の妻は 美大への進学者としては後発組で、 高校 3年になってから志をたて受験準備のために鎌倉のアトリエに通いはじめたそうです。

因みに 私の場合は、なぜか‥ 小学3年生の秋に親類と家族があつまっていた場所で 『 決めた!僕は将来、画家か彫刻家になる。』と宣言した上で、中学1年生になると石膏像の木炭デッサンに猛烈にはげみました。

お陰さまで私にとって生涯の師である 彫刻家 松永正和先生との幸せな出会いなど、 人とのめぐりあいにも恵まれ ここまで物作りの道を歩んで来ることが出来ました。

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さて本題にもどりますが‥ ヴァイオリンやチェロを製作するためにはアーチのなかに組み込まれた複雑な立体的形状を読み解くために、その特徴を観察し理解する必要があります。

 


Hendrik Jacobs ( 1629-1699 ) violin  1690年頃製作

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私は 現代の弦楽器製作者はある意味では『 オールド・バイオリン 』が製作されていた時代以上の注意深さがもとめられていると感じています。

 


ここで弦楽器製作者の私見として教育論をのべさせていただくと‥ ひとりの人間がどんなに知識を持っていたとしても 実際の仕事の現場で『 気づき 』がなくては『 知恵 』として用いることができません。 私は 物作りの現場で大切なこの『 気づき 』は、学習者が 徹底的な模倣の体験を通じてのみ習得できる能力だと考えます。

私は 若者が大胆にも弦楽器製作者をめざすとしたら‥ それは 結構なことだと思います。しかしそれが果たせるかは 実際の行動にかかっています。大きなことばかりしたがり 小さなことをしたがらない人は‥ 結局、何もできずに終わるでしょう。大きなことを成し遂げる力は小さなことに誠実に取り組み、小さなことから学んだ人だけに与えられるものなのです。

これは ヴァイオリンの誕生と発達をルネサンス後期からの歴史のなかで検証してみると、ギルド制度の枠組みのなか 親方の工房で『 徹底的な模倣 』が誠実におこなわれ、それによって 多くの弦楽器職人が育ったという事実で証明されていると思います。

そういう理由で 私は 物作りを目指す心が定まった人に時間が確保しやすく、感性がやわらかい中学生や高校生などの年齢で 『 小さなこと 』として  “デッサン力” をつけるため近辺のアトリエ等をリサーチのうえで木炭デッサンの初心者コースを受講することをお奨めしています。

因みに‥ 私の高校2年生の娘が はじめてデッサンを体験するために受講したお茶の水美術学院では 2014年度の夏期講習  7月28日から8月2日( 6日間 )の入門コース( 夜間基礎入門 17:00~20:00)の場合で 17,000円 で、次いで8月11日から8月16日に受講した初心者コース( 基礎初心者 A   9:00~16:00 )は 33,000円の受講費で 18名程のクラスで指導をうけました。

ここは東京藝術大学のデザイン科、工芸科の合格実績が全国的に有名で東京芸大受験希望者が多く‥ 木炭デッサン、鉛筆デッサンの経験がまったくなかった私の娘は高校1年生、2年生を対象とした基礎科の初心者・入門コースとはいえ一緒に受講しているまわりの受講生のデッサンにも良い刺激をいただいたようです。

お茶の水美術学院
http://gakuin.ochabi.ac.jp/view/K00100/
基礎部 – 夏期講習
http://gakuin.ochabi.ac.jp/view/L00002/

そして‥ 高校生だったその四女は2年半後の現在 18歳となりました。

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彼女が デッサンを始めて2年後の 今年 7月に描いた鉛筆デッサンがこれです。

この頃から 彼女はデッサンについて 多少は考えられるようになったようです。

そして、それから 4か月程経過した現在は 下の構成デッサン( 鉛筆デッサン    所要時間 8時間15分 )のような段階まで成長しました。

当日の朝に 彼女は 自由課題として 軍手と柿 そして紐を 身近なものからモチーフとして選び、画中でイメージとして構成しました。

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彼女には 描写の上では軍手などの攻め残しは残念だけれど、大胆な構成と鉛筆の特性の使い分けによって空気が描けていることが すばらしいと講評をしておきました。

ともあれ、 私はこれが 四女の仕事としては やっと第一作にたどり着いたものと評価しています。

デッサンの訓練を彼女がはじめたときに 私が予想したように 成長には時間がかかりましたが、お陰様でこれからの成長がより楽しみになりました。

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2016-11-19                Joseph Naomi Yokota

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構成デッサン( 鉛筆デッサン )
モチーフ   :     りんご 1個、アルストロメリア、トレッシングペーパー  1枚

そして、1ヶ月が経過しました。
現在も四女は 鉛筆デッサンでは なかなか 思ったように表現できず苦闘中といったところです。

結局、彼女は このデッサンに 21時間を費やしましたが‥ まだまだ ‥ といった感じですね。

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2016-12-18                Joseph Naomi Yokota

糸巻きの長さは 弦楽器の響きを左右します。

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Marco Gandolfi,   violin  Cremona  1994年

これは先日 整備のために私の工房に持ち込まれたヴァイオリンのヘッド部です。

私は、この挑戦的なペグは 製作時のままだと判断しました。

なかなか面白いアイデアでしたが 残念ながら 彼が製作した響胴とは調和していませんでした。

それでも‥ 私は このように糸巻きの長さを意識して弦楽器を製作する人を すばらしいと思います。

 

2013-5-04-hところで、糸巻きの役割を皆さんご存知でしょうか。

私は ペグ機構は 単に弦をチューニングしながら固定する役割のほかに、響胴のゆれに積極的に影響をあたえる仕組みとして考案されたと考えています。

これは下の写真のように糸巻きをはずした状態と 4本とも取り付けた状態、それから左側の D線、G線ペグ 2本を取り付けた状態と その逆に右側だけなど いくつか条件を変えて揺らしてみると 響胴部の固さが変わったり 重心位置が移動しますので ‥ 可能な方は 実際にゆらしてみることをおすすめします。

2013-5-04-e-l2013-5-04-f-l2013-5-04-g-l

参考としての実験は こういう感じとなります。

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2013-5-04-d-l
糸巻きでヴァイオリンのゆれ方が変わることを確認したら、最後に エンドピンを差し込んでから 同様にヴァイオリンを揺らしてみてください。

ヴァイオリンの重心が手元近くに移動するので、ヴァイオリンが軽くなったように感じるはずです。

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それでは‥ そもそも歴史の上で 糸巻きの長さはどういう変遷をたどったのかをすこし見てみましょう。

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この写真は 1909年頃にユトランド半島の 小さな町 ブレデブロ( Bredebro of Southern Denmark )で撮影されたようです。ここは 1866年にドイツに併合されたドイツ北端の都市フレンスブルク( Flensburg )から北西に30㎞ほど離れた場所です。

下の拡大写真のように 左側の 2人は短い糸巻きで右側の男性は長い糸巻きの楽器を使用しています。写真は 実にわかりやすいですね!

umgegend-von-flensburg-gebraucht-bredebro-1909-verlag-th-thomson-flensburg-i-lこのように 1900年代の初頭に撮影された弦楽器の写真には 長短の糸巻きが混在しています。

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Still-Life with a Violinist      1620年頃

ヴァイオリンの黎明期にさかのぼりますが 1620年頃に製作されたこの油画にも 短い糸巻きを見ることが出来ます。

また 私は 下のような版画にも 十分資料としての価値があると考えています。

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John Gunn   “The Theory and Practice of Fingering the Violoncello”   1789年

それから、この 著名チェリストの肖像画でも糸巻きが短かったことがわかります。

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Bernhard Romberg ( 1767-1841 )  1815年

結論としては‥ 私が調べてみた限りでは 現在のように長い糸巻きが一般化したのは第一次世界大戦以降のようです。

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さて、音響上の証明は残念ながら 実際に設定してみるしかありません。

因みに 私が先日整備のために お預かりしたヴァイオリンの糸巻きは下の写真の設定に変更し響胴の共鳴が起りやすくなりました。

興味がある方は この糸巻きの長さ設定を試してみてください。

marco-gandolfi-violin-1994%e5%b9%b4-c-mono-l
この投稿はここまでです。

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2016-11-09                Joseph Naomi Yokota

 

指板の面取りは 興味深い設定だと思います。

cello-fingerboard-1

1701 ~ 1714年  War of the Spanish Succession
“France : Louis XIV ( 1638-1715 ) × Habsburg : Karl VI ( 1685-1740 )”

●  Cremona governance countries
España ( 1513 ~ 1524, 1526 ~ 1701 ) – France (  1701 ~ 1702 ) –  Republik Österreich / Habsburg  ( 1707 ~ 1848 )
●  Casa Savoia :  1713年 Regno di Sicilia – 1720年 Regno di Sardegna  / Torino – 1848年 The First War of Independence – 1859年 The Second War of Independence –  1866年 The Third War of Independence

 

● Luigi Rodolfo Boccherini ( 1743-1805 ), 1743 Lucca / 1757 Vienna  “The court employed” / 1761 Madrid / 1771 String Quintet Op. 11  No. 5 ( G 275 ) :   Italian cellist and composer 

Marie Antoinette ( 1755-1793.10.16 )
1770年  She married  Louis-Auguste ( 1754-1793.1.21 )  /  ” Louis XVI ( 1774 ) “  at the age of 14.
1793年  ” Louis XVI ” ( 1774 )  /  Louis-Auguste ( 1754-1793.1.21 )  

●  Johann Peter Salomon ( 1745-1815 ), Bonn / Prussia / ca.1780 London / 1791 ~ 1792, 1794 ~ 1795 Franz Joseph Haydn  :  Violinist

□  François-Xavier Tourte ( 1747-1835),  Paris :   Bow maker

●  Carl Stamitz ( 1745-1801 ), Mannheim / 1762 Mannheim palace orchestra / 1770 Paris / Praha, London  :  Violinist

●  Johann Anton Stamitz ( 1754 – ‥ ), Mannheim / 1770 Paris / 1782 ~ 1789 Versailles / ‘ 1798‥1809 Paris ‘  :   Violinist

■  Giovanni Battista Ceruti  ( 1755-1817 ) , Cremona  :  Violin maker.

●  Giovanni Battista Viotti ( 1755-1824 ), Fontanetto Po / Torino, Paris, Versailles, 1788 Paris, London, 1819-1821 Paris,  London :   Violinist

●  Federigo Fiorillo ( 1755-1823 ),  Braunschweig / 1780 Poland / 1783 Riga / Paris / 1788 London  He played the viola in Saloman’s quartet.  / 1873 Amsterdam, Paris

●  Wolfgang Amadeus Mozart ( 1756-1791 ), Salzburg / 1762 München, Wien / 1763 ~ 1766 Frankfurt, Paris, London / 1767 ~ 1769 Wien / 1769 ~ 1771 Milano, Bologna, Roma, Napoli / 1773, 1774 ~ 1775 Wien / 1777 München, Mannheim, Augsburg / 1778 Paris / 1779 Salzburg / 1781 München, Wien / 1783  Salzburg  / 1787 Praha, Wien / 1789 Berlin / 1790 Frankfurt / 1791 Wien, Praha, Wien

ドイツのチェリスト  ベルンハルト・ロンベルクは 父親と共に1790年頃に ボンにおいて ケルン大司教の宮廷オーケストラに参加したとされています。そして そこで知り合ったベートーヴェンの ‘ あなたのためにチェロ協奏曲を作曲する。 ‘という申し出を断った逸話が残る人です。

ロンベルクは、チェロの設計と演奏にいくつかの革新をもたらしたことでも知られています。

例えば 1/2 や 3/4サイズのチェロを作るべきであると提案したことやチェロの記譜法の単純化などがそうですが、弦楽器にとってはなんといっても チェロの指板にフラット面を設定したことが重要だと私は思います。

このアイデアに関しては 演奏上の目的などいくつかの説明が試みられていますが、私の個人的な推測としては ネック振り設定と 指板裏加工の考え方を反映したものと思っています。

皆さんは どうお考えでしょうか?

 

●  Bernhard Heinrich Romberg  ( 1767-1841 ),   “The Münster Court Orchestra” / 1790 Bonn  “The Court Orchestra” /  He lengthened the cello’s fingerboard and ‘Flattened’ the side under the C string  :   German cellist and composer 

●  Rodolphe Kreutzer ( 1766-1831 ), Versailles / 1803 Wien “Kreutzer Sonata ” Ludwig van Beethoven 1770-1827,  Paris 1795 ~ 1826 ‘Conservatoire de Paris’ –  1796年 Caprices – 1807 comprises 40 pieces – “42 Études ou Caprices”  / Genève, Swiss :   Violinist

●  Pierre Baillot ( 1771-1842 ),  Paris :   Violinist

●  Pierre Rode ( 1774-1830 ), Bordeaux / 1787 Paris /  1804 Saint Petersburg, Moscow / 1812 Wien ” Ludwig van Beethoven 1770-1827  Violinsonate Nr. 10 in G-Dur, Op. 96 ” / 1814 ~ 1819年  Berlin,  “24 capricci”  /  1830 Lot-et-Garonne :   Violinist

●  August Duranowski ( ca.1770-1834 ), Warsaw / Paris / 1790 Brussels / Strasbourg :   Violinist

●  Ignaz Schuppanzigh ( 1776-1830 ), Vienna /  He gave violin lessons to Beethoven, and they remained friends until Beethoven’s death.  :  “Schuppanzigh Quartet”  :   Violinist

 

 

2016-11-02               Joseph Naomi Yokota


振動モード参考モデル

弦楽器にとって振動モードと剛体としての運動条件が響きをきめる重要な要素になっています。

皆さんがご存じなように一次振動モードはわかりやすいですね。
ちなみに今日ではギターやベースなどの弦楽器の演奏をiPhoneで撮影すると、カメラに搭載された CMOSイメージセンサの誤差によって起こる “ローリングシャッター現象” によってまるで自分の目がオシロスコープになったかのような映像で見ることができます。

ローリングシャッター現象とは CMOSセンサーが目の前の風景を一度に全て記録せずにイメージの上部から順番に記録を行なうために、高速に動く被写体を撮影すると取り込む時差によよって歪みが生じておこる現象です。

一次元モードのアニメーション
粒子速度

以下の4つのアニメーションは、それぞれ一次元音場の点 (0)において音が発生し、x方向へ伝搬し、右端の剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生する様子を示している。またこれは2次元音場における「軸波 (axial mode)」の一つの断面とみなすこともできる。

1.波の数が一つの時
sinmode1

2.波の数が二つの時
sinmode2

3.波の数が三つの時
sinmode3

4.波の数が四つの時
sinmode4

ニ次元モードのアニメーション
二次元音場の固有振動モードの生起

以下のアニメーションは剛壁に囲まれた二次元音場の点(0,0)において音が発生し、(x,y)両正方向へ伝搬し、剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生する様子を示す。またこれは3次元音場における「接線波 (Tangential Mode)」の一つの断面とみなすこともできる。

音圧
1.固有振動モード(1、1、0)

このアニメーションは、xy 平面における音圧 p の時々刻々の変化の様子をあらわしている。
剛壁に囲まれた二次元音場の点(0,0)において音が発生し、(x,y)両正方向へ伝搬し、剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生している。

2wave1

<注意>厳密には、二次元音場において点音源から生じた音は「円筒波」として伝搬すると考えられる(あるいは、二次元の波動方程式の解は円筒波を表わすハンケル関数を用いて得られる)。しかしここでは簡単のため、現象を平面波で近似して示している。このため波面は矩型となっている。なお数学的に球面波は平面波を重ね合せて得られることが知られている。

2.固有振動モード(1、2、0)

二次元モード
このアニメーションは、xy 平面における音圧 p の時々刻々の変化の様子をあらわしている。
剛壁に囲まれた二次元音場の点(0,0)において音が発生し、(x,y)両正方向へ伝搬し、剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生している。
2wave2

<注意>厳密には、二次元音場において点音源から生じた音は「円筒波」として伝搬すると考えられる(あるいは、二次元の波動方程式の解は円筒波を表わすハンケル関数を用いて得られる)。しかしここでは簡単のため、現象を平面波で近似して示している。このため波面は矩型となっている。なお数学的に球面波は平面波を重ね合せて得られることが知られている。

粒子速度
上の(1,1,0)の場合の、x, y 二つの方向に関する粒子速度成分を左右の図で示す。反射波が干渉した結果、剛壁における法線方向速度成分が0になる様子が示されている。

固有振動モード(1、1、0)
このアニメーションは、xy 平面における粒子速度 u の時々刻々の変化の様子を x , y 二つの方向に分けて表わしている。
剛壁に囲まれた二次元音場の点(0,0)において音が発生し、(x,y)両正方向へ伝搬し、剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生している。
2wave3

<注意>厳密には、二次元音場において点音源から生じた音は「円筒波」として伝搬すると考えられる(あるいは、二次元の波動方程式の解は円筒波を表わすハンケル関数を用いて得られる)。しかしここでは簡単のため、現象を平面波で近似して示している。このため波面は矩型となっている。なお数学的に球面波は平面波を重ね合せて得られることが知られている。

三次元モードのアニメーション

音圧の固有振動モード (1,1,1)
このアニメーションは、xyz 空間における音圧 p の時々刻々の変化の様子を表わしている。
剛壁に囲まれた三次元音場の点(0,0,0)において音が発生し、(x,y,z)それぞれの正方向へ伝搬し、剛壁で反射、後退波が発生、その後両者の干渉によって定在波が発生している。

( 三次元空間を表現するのは困難なため、三次元空間の断面を並べて表現している。)
sptittle

3wave2

ポテンシャルモード
ここでは速度ポテンシャルの変動を黒点の大きさの変化で示している。つまり、音圧の変動はその動きの逆(ポテンシャルが大きい場所では音圧は小)で示されている。室の中央部で音圧が低く周壁部で音圧が高いことが分かる(アニメーションでは、中央での黒丸の動きが大きく、ポテンシャルの変動が激しいことが表されている)。

このアニメーションは、立方体室の点(0,0,0) から音が発生し、時々刻々のポテンシャルの変化の様子を表わしている。

1331mo111
(1,1,1)モードです(776 k)(.mov)

木彫技術においての 優劣の見分け方

私は ”オールド・ヴァイオリン”などの中で 高度な彫刻技術を用いて製作された楽器を目にするたびに 本当に感動します。

しかし彫刻技術をご存じない方が それを知るのは難しいと思いますので、 この投稿では 弦楽器を観察するときに大事な 木彫技術においての優劣を見分けるためのポイントについてお話しさせてください。

まず参考のため2台のヴァイオリン裏板画像をごらんください。

この ヴァイオリンは 1620年頃 ブレシア( Brescia )で マッジーニ( Giovanni Paolo Maggini  1580 – c.1633 )  が   製作したものとされています。

Giovanni Paolo Maggini ( 1580 – c1633 ) Brescia 1620年頃 - A MONO

それから、もう一台は   Antonio Stradivari ( c.1644 – 1737 )が  1703年に製作されたとされているヴァイオリンで ” Alsager “と呼ばれているものです。

Antonio Stradivari violin 1703年 Alsager - B L
私は これらを観察するときに大切なのは 着目点としてなにを観察するかだと思います。

たとえば ヴァイオリンの演奏技術の優劣を判断したければ 音楽の特性から考えて一つの響きを『 音の始まり( 音の入 ) 』と『 音の終わり( 音の出 )』とに 意識的に聞き分ければ、十分に 優劣の判断ができると思います。

私は 上質な演奏は『 音の入 』を完全にコントロールできると達成できる可能性が高いと思っています。しかし、真の意味での音楽的に完成された演奏を達成するためには 『 音の出 』のコントロールが必要になって来ると考えています。

つまり演奏技術においては 演奏者が 『 音の入 』をコントロールするより、『 音の出 』( ” 音の始末”とも言います。)をコントロールするほうが はるかに難しいということを念頭において聴けば演奏技術としての優劣判断はほとんどの皆さんが 判断できると私は信じています。

ただし、これは『音楽的であるか』や、それが『ゆたかな音楽であるか』という観点ではありませんのでご理解のほどをお願いいたします。

さてヴァイオリンや チェロなどの木製品の場合です。
重要なのは 彫刻技術の能力は『くぼみを彫る技術 』に現われるということです。

この観点で上のヴァイオリン裏板画像をながめてみてください。
ヴァイオリンなどの観察のはじめは、『 どこが、どのように窪んでいるか ?』という点に着目し観察することが 見極める基本だと私は思います。

残念ながら ヴァイオリンなどの弦楽器において扁平にみえるものは未熟な人が製作した可能性が高いと 私は思っています。 木彫で使用する道具は考えないでもちいると‥ 出っ張ったところが削れます。これが単純化をまねき全体としてでこぼこが少ない扁平な印象の弦楽器の出現につながります。

5 Antonio Stradivari Schreiber - da Vinci 1712 ( c 1644-1737 )

そもそも弦楽器は あの響きがするように工夫されています。
たとえばこのストラディヴァリウスを用いた共鳴モードで裏板部の動きを観察してみてください。

409hz star0409hz 680hz star0680hz817hz star0817hz1690hz star1690hz

私は 多様な音色をもつヴァイオリンは その構成要素となる『 音の数 』を確保するために、複雑なゆれをするように作られていると考えています。

そのために”オールド・ヴァイオリン”などでは 薄板状に加工しても 立体的形状 によって剛性を高める技術として凹凸が『 木伏技術 』として用いられていると私は推測しています。

剛性 立体的形状 - 1 MONO L
この剛性を高める技術は めだちませんが たとえば 現代でも このコーヒー缶のように 用いられています。

さて、私たちは大量生産に適した 単純化されたフォルムをもつ工業製品にかこまれて生活していますので、ともすると 上に参考例としてあげさせていただいたヴァイオリンの裏板を見て 削りそこねた結果と思う方も多いと思います。

果たして それは事実でしょうか?

私は  ”オールド・ヴァイオリン”などを見る際は ”合目的性”ということを念頭に置き『 どこが、どのように窪んでいるか ?』という視線でそれを観察すると 本当に豊かな世界が見えて来ると信じています。

 

以上、ありがとうございました。

2016-7-21    Joseph Naomi Yokota