カテゴリー別アーカイブ: 弦楽器製作

軸線の役割について

軸線についてご質問がありましたので投稿いたします。
私は ヴァイオリンやチェロなどの軸線が節として動かないのは”一瞬だけ”であると認識しています。

それは 人間の二足直立歩行が 左の足で体重を支えることで右足を動かし、次の瞬間に移動した右足に体重を乗せ 左足の自由度をあげることでそれを動かすのに似ており、

下図で言えば 赤線が軸線として支えている瞬間に 点 aと点 b の側にゆるみが生まれやすくなり、つぎの瞬間にはモードが反転して線分 ab が軸線の役割をはたすというイメージです。


また、軸線のゆれを表板左側にあるバスバーに由来する軸線ゾーンの破損にみることも出来ます。

表板のなかでも剛性が高いはずの このゾーンが 最も破損していることは一見不思議ですが、私はこれが軸線がゆれた証明となっていると考えます。

これらの事などから 私は箱体のヴァイオリンでは X型と十字型の軸線が”対”で設定されていると考えるようになりました。

この X型と十字型の軸線はつり合った状態から ゆらすのにはより大きなエネルギーが必要となります。弦楽器の場合 これは音の立ちあがりが遅くなったり、鳴りにくい状態につながると思われます。

私は 弦楽器は これを避けるために”対”となっている軸線の一方に年輪をあわせることで意図的に差をつけてあったと思っています。

それは 響胴の左右で剛性差がつけられたことでねじりが生じやすくなり、スムーズなレスポンスが得られると考えられるからです。

それから、軸線は年輪やバスバーだけではなく 私が参考例としてあげている 1736年頃の製作とされるストラディバリウス ( Antonio Stradivari c.1736 violin ” Prince Jussupov ” ) などの表板等厚線図の板厚配置でも取り入れられている事がわかります。

 

この2台のストラディバリウスを比較すると 上下端にしっかり確保してある C部D部の厚いゾーンの幅が左側のヴァイオリンよりも右側が狭くしてあり、 おなじくF字孔外側のA部B部の上下方向の幅が狭く変更してあることが分ります。

私は これらのヴァイオリンには 板厚が厚いゾーンの切れ目である  点e, 点f, 点g, 点hを結ぶ軸線が設定されていると考えています。

この二つのストラディヴァリウスの比較から、私は e-f 軸と g-h 軸が交わるx型の軸線角度を 左側のヴァイオリンより右側は 狭くしたと判断しました。

私はストラディヴァリは 後者のヴァイオリンでこれらの条件を変更することでレスポンスの高速化と『 低音域 』の明瞭化を実現しようとしたと考えています。

 

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2017-9-21                   Joseph Naomi Yokota

弦を交換する前に 試してみてください。  

 


ヴァイオリンや チェロの響は ヘッドの影響を大きく受けています。そこで私は、その応用で弦楽器の鳴り方を改善する実験をお薦めしたいと思います。

これは ヴァイオリンや チェロのナットにある溝に、弦の滑りを良くするために 鉛筆( 5B )やローソクを塗る 通常メンテナンスを工夫したものです。

一般にはナット溝のメンテナンスとしては鉛筆が普及しているようですが、私は 蜜蝋入りロウソクの方が より効果が大きいと思っています。この実験のために 恐縮ですが それを準備してください。

因みに、私の場合は仕事でお客さんに差し上げたりしていますので  山田念珠堂  /  蜜蝋入りローソク あさみどり3号 54本入り ( 税込3,888円 )を使用しています。

それから、 この実験は簡単ですので 所要時間 1~2分といったところだと思います。


実験は、まずはじめに準備した弦楽器の響を 開放弦程度でかまいませんので4本とも確認してください。

それから、ヴァイオリンやチェロのナットにある 4本の弦溝のうち 4番線( 一番左側 )の溝だけ 弦の滑りを良くするためにローソクを塗り その後また調弦します。

そして、もう一度 響を確認してください。すると‥ ローソクを塗った4番線だけでなく他の3本も含めて 鳴り方が改善しているのではないでしょうか。

これは4本のうち1本のナット溝だけ塗ったことで ヘッド部のねじりが大きくなり、それが響胴の共鳴条件を改善したためと考えられます。


なお、この実験は弦の状況でも結果にある程度の差が生れます。

例えば、上写真のチェロに張ってあるスピロコアーC線のように芯弦のケーブル 注)1  の上を ナイロンの中間材でさや状に包み、その外側に銅色の丸い金属線が巻いてあり( ラウンドワウンド )、それにまた 白銅色の丸い金属線が巻きつけてあり、最後に平たいベルト状の白みがかった金属が巻き付けてあるフラットワウンド弦で、ある期間使用し‥ 少ししなやかさが失われかけたものは、劇的に改善がみられるようです。

 

注)1
写真では解いていませんが この弦は 中央に2本のピアノ線がねじって糸状にされ、それを包むように6本のピアノ線が強く編み込まれて合計8本で線状ケーブルになっています。つまり、このスピロコアーのC線は 中間材のナイロン部を一つとして数えると12本の線材などで作られています。

私の経験では、ヴァイオリンやチェロで一般に使用されている弦はフラットワウンド弦が多いので 、張ってから時間が経つと内部のずれなどの影響で一番外側の平らなベルト状金属に隙間ができてしまい、駒の弦溝やナットの弦溝部でのすべりが悪くなっていることが 多いようです。

つまり、弦を交換する頃が この実験に最もふさわしいのではないかと 私は思っています。

少し前のトマスティーク社のドミナント弦の広告で、伝統的な手作業でフラットワンド加工をしている写真が貼られていました。

 


芯弦( コアー )がナイロンの場合は 当然‥ 不安定要因が多くなりますので、この実験は より効果が分かりやすいかもしれません。

なお、私はこの投稿では 一応「実験」と言う表現を使っていますが この実験の効果は特に一時的なものではありませんので‥ 結果として、弦を使用できる期間をのばせるのではないかと思います。

それから、弦楽器においてのねじり条件をより知りたい方のために、下に別の実験のリンクを貼っておきます。

非対称楽器であるバイオリンの “名器的響き” を楽しんでください。

 以上、ありがとうございました。

 

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2017-7-18               Joseph Naomi Yokota

ヴァイオリンの音は 聴くほかに “見て‥” 知ることが出来ます。

皆さんがご存じなように、弦楽器の表板は スプルース材の年輪がたてになるように使用されています。

そのため縦に割れやすい特性があり それが影響して このチェロの魂柱部には縦方向の割れ( Sound post Crack )が入っていて 表面のニスにも 縦方向のひび割れがはいっています。


私はこのニスに入った縦ひび( a. )はバランスが調和していなかったことで歪みが溜まり 表板が疲労した過程できざまれたものと思っています。

では b. c. そして d. のひび割れはなぜ入ったのでしょうか?
私は この年輪に直交するひび割れは チェロやヴァイオリンに設定された音響システムによって入ったものと考えます。

因みに‥ 私がこのように ニスのひび割れと響きを関係づけて考えるようになったのは  2003年 9月29日 の 16:45頃からです。

長くなりますが、ここで その時のお話をさせて下さい。

それは 2週間前まで 11歳の長女が使っていた 1/2サイズのヴァイオリンを 7歳の二女が使いたいと言い張ったので 、その準備として 弦などの交換を検討するために 工房の入り口に立ってこのヴァイオリンを私がチェックしている時のことでした。

風もなく空が晴れわたったおだやかな夕方で 私が立っている工房の入り口には まだ日差しがさしこんでいました。

そのときニスのひび割れが 『 キラッ ! 』と蜘蛛の糸のように光ったのが 私の目にとびこんできました。 それで私は このヴァイオリンの表板と側板にはいった ニスのひびを確認してみました。 はじめは 『  なるほど。 分数ヴァイオリンでも フルサイズとおなじ入り方をするんだ‥‥ 。』と思いながら観察していたのですが、 当時 私が記憶していた他の事例とあまりにも合致していたので 『  これは‥ もしかして! 』と思ったときに 私の顔色は変ったと思います。

それまでニスのひび割れを特に重大なことと思っていなかった私でしたが、このときヴァイオリン響胴の振動モードとそれが きちんと繋がったのです。 私はこのとき『  ヴィジョンが降りてきた‥‥ 。』感覚のなかで 『  いま自分の頭のなかにうかんでいるヴァイオリンのヴィジョンは本当なのかな? 』と 戸惑いながらも楽器の角度を変えたりしながら観察して、もう一度 頭にうかんだ ヴァイオリンの振動モードに誤りがないかを検討しました。

その最中のことです。  私が表板側と側板に気をとられてよくみていなかった 裏板がレイヤー映像のように頭のなかに浮かんだのです。 『  表板がこう振動して側板はブロックによって こう動き‥ということは裏板のここら辺りにこういう形状のニスひびが‥‥ 。』と 私は 独り言をいいながら 裏板を見るために ヴァイオリンをひっくり返しました。

いまでも その瞬間をときどき思い出します。
とにかく感動しました。  私が予測したとおりの形状の小さなニスひび割れが 裏板の推定した位置に 入っていたのです。 おかげさまで 私は 鉱山技師が鉱脈を発見したような 歓びを経験しました。

下の図は そのニスひび( 表板側 )を 2005年になって 私のノートに記録したものです。


この時に私がはじめに気がついたのは下幅広部に真横に入っているニスひびが テールピースの下で繋がっておらず 魚のウロコ状のニスひびとなっている事でした。

それで私は このニスひびは ボトムブロックの端付近( 高音側 )の点 a. から ゆれがはじまる”ねじり”によるものと判断したのです。

その証拠に反対側のネックブロック部をみると 点 b. 辺りからブロックのねじりによるニスひびがはいっています。


このような ネックブロックのねじりは上の動画で確認できます。
おそらく撮影の都合だと思いますが鏡像になっていますので ネックブロックは手前側が高音でその奥が低音側となっています。

私は これらのニスに刻まれたヒビは弦楽器のねじりについて 決定的な状況証拠となるものと考えています。

“Varnish crack”   1970年製     Karl Hofner Cello( 2006年撮影 )

【  弦楽器のニスに入ったヒビが物語ること‥。】

この投稿はここまでとさせていただきます。

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2017-7-10               Joseph Naomi Yokota

私は テールガットを リスペクトします。

 

スタインウエイが 1872年に取得した特許で デュープレックス機構というのがあります。


スタインウエイの アグラフとチューニングピン

これは ‥ ピアノの響には 打弦された弦が自由に振動する範囲の前後外側部分にあるアグラフや チューニングピン位置などの条件が影響していることに着目し、それを 積極的に利用するものでした。

公告番号 US126848 A
公開タイプ 認定
公開日 1872年5月14日
公告番号 US 126848 A, US 126848A, US-A-126848, US126848 A, US126848A
発明者 C. F. Theodor Stedtway

IMPROVEMENT IN DUPLEX AGRAFFE SCALES FOR PIANO-FORTES.

UNInn STATES’ PATENT OFFICE.
G. F. THEODOR STEINWAY, 0F NEW YORK, N. Y., ASSIGNOR TO HIMSELF, .elli-BART STEINVAY, AND WILLIAM STEINWAY.

Speciiication forming part of Letters Patent No. 126,943, dated May 14, 187
To all whom it may concern:

Be it known that I, (l. I?. Trinonon S’rnnt WAY, of the city, county, and State of New York, have invented anew and Improved Duplex Agrai’e Scale for Piano-Fortes; and I do hereby declare the following to be a full, clear, and exact description thereof, which will enable those skilled in the art to make and use the saine, reference being had to the aecompanying drawing forming part ot this specification, which drawing represents a plan of a grand piano-forte with my improved scale.

My invention consists in brin ging the vibrations of that portion or’ the string which is situated between the agrade and the tuningpin, in proportion to those ot’ the main portion of the string, in such a manner that the tone produced by said a gratie section is brought in harmony with that of the main section, and thereby the purity and fullness of the tone of the instrument is materially increased, also,4

in bringing the longitudinal vibrations of that portion ot’ the string which is situated between the sounding-board bridge and the hitch-pin in proportion to the vibrations of the main section of the string, so that the sounds due to these longitudinal vibrations are brought in harmony with the tone ot the main section of the string, and the purity and fullness of the tone of the instrument is improved.

In order to enable others to understand my invention, I will here remark that the term scale77 of a piano-torte comprises the position of the strings side by side or above each other, their length and thickness and their tension; and my improvement is applicable to all stringed instruments in which the sounds are produced by the action ol hammers.

If the bass tones of a stringed hammer instrument are sounded -irom octave to octave toward the trcblea great diiierence appears in the effect of the various strings, according to their length, as far as the partial tones of the strings are concerned, which are duc to the spontaneous subdivisions of said strings in halves, quarters, eighths, sikteenths, 85o. rl’he longest duration ofthe vibrations and the highest quality’ to subdivide in partial tones is found in the strings between the contra C and the small c. Within these limits each string subdivides itseli` by the blows of the hammer and by the transverse vibrations due to the same in a large number of nodes whereby the so-called harmonic overtones are produced, and whereby the fundamental tone is rendered rich and brilliant. At the same time this portion of the strings, particularly, produces, by the longitudinal vibrations, a number of unharmonic side tones, making a whistling sound, which disturbs the purity of the tone. Both these qualities disappear as the height of the tone increases, so that the limit of producing a pure fundamental tone is found at a4, while it is in most cases desirable to obtain a clear tone from c5,- but the inherent firmness of the thick strings generally employed, and the great tension required on account of thickness prevents the string ot’ the above-named o5 to make the proper transverse vibrations due to the fundamental tone, and a division into partial tones is out of thc question. In order to eft’ect or promote the subdivision of the string and to produce the desired partial tones, I combine with that portion of the string which is situated between the tuning-pin a (see drawing) and the main agrafte b a secondary agratt’e, c, which supports the string and is placed at a distance from the main agrae corresponding to one of the above-named subdivisions of the main section d oi’ the stringthat is to say, at a distance equal to l, l, 15, or of the length of the main section, or to any combination ot’ these fractions. The main agrafte Z), which supports the string only at one point, allows the transverse vibrations to extend to that part of the string between the said agrafte and the tuning-pin, the vibration of this part being in a direction opposite to that of the main section of the string. By inserting the second agrafi’e c at a distance from the main agraffe equal to gf, gg, ,15, 517 or E13 of the length of the main section oi the string, the subdivision of the string into partial vibrations, and the consequent production of harinonic overtones is effected or promoted7 and a clear, strong, and brilliant tone is obtained up to the highest note.

In the drawing I have marked opposite to each tuning-pin the proportion existing between the distance of the two agra’es and the length of the main section of the string.

By allowing the vibration of the strin g to extend beyond the main agraie the durability of the string is materially increased, since by cutting oft` the vibration of the string at this bration of the strings, I avoid by supporting that portion of the string between the sounding-board bridge and the hitch-pin at distances from the outer bridge-pins equal to l, or 51T of the length of the main portion of each string, or kto any combination 0f these fractions. By the sounding-board bridge the continuation of the transverse vibrations must necessarily be interrupted, owing to the width of the bridge supporting the string, whereby these vibrations are ei’ectually stopped; but particularly With strings of’great thickness, as generally used in piano-fortes of recent construction, the longitudinal vibrations ofthe strings .extend to those portions which are situated between the kbridge and the hitchpins; and in order to avoid unharmonic tones due to these longitudinal vibrations I apply between the bridge and the hitch-pin g, under each string, a support, e, at a distance from the outer bridge-pinf, corresponding to T15, 3 1? or of the length of the main section d of the’ string, or to any combination of these fractions.

In the drawing I have marked opposite to each hitch-pin the proportion existing between the distance from the support c to the bridgepin and the length of the main section of the string. By these means the unharmonic tones due to the longitudinal vibrations ofthe strings are converted into harmonious tones, whichl being transmitted through. the bridge to the sounding-board reach the ear and strengthenl and enrich the fundamental vtone of the string, instead of disturbing the purity thereof, as heretofore. The supports c and e may be made of metal, ivory, or any other material capable of resisting the pressure of the string.

What I claim as new, and desire to secure by Letters Patent, is

l. rIhe arrangement, in a piano-forte, of a g series of successive strings, in each of which the vibrations of that portion situated between the agraie and tuning-pin are brought in har- Witnesses W. HAUFF, E. F. KASTENHUBER.

C. F. THEODOR STEINVAY.

私は ヴァイオリンなどの弦楽器もこれとおなじようなものと考えています。例えればサドルが ピアノにある アグラフの役割といったイメージです。


ところで ピアノは弦( ミュージックワイヤー )がエンドピンの位置までそのまま張られていますが 、ヴァイオリンなどの弦楽器はひも状の テールガットやテールナイロン そして写真にあるカーボン繊維で作られたテールコードなどが弦の末端の役割を果たしています。

このため‥ この部分は弦楽器の響きにおおきな影響をあたえています。

因みに、テールコードは ボワ・ダルモニ( Bois d’Harmonie )などが販売する非常に軽くて丈夫な素材のアラミド繊維( ケブラー )を主体とした高強度のひもで 鋼鉄と比べて5倍くらいの強度を持つとされています。

個人的な結論ですが テールコードは 響胴が硬い楽器には有効で 高音域は多少さえますが低音域を失う傾向があります。このため、私は 限定的な使用にとどめています。

私は 弦楽器の多くは弦が響胴に ねじりを加え 弛める仕掛けが 美しい音色を作り出していると考えているからです。


ところで、少し前ですが フェイスブックで 独創的な工夫をしたこの写真が流れてきました。真鍮でしょうか‥ 少なくとも このねじりは有効だと私も考えます。バロック・バイオリンなのでテールピースもねじれ易い構造なので 音響的にはそれほど破綻していないと想像します。

私もスチールやチタン、額縁ワイヤーを使用した弦楽器は知っていますが真鍮はまだ実験していません。

下図にあるようにサウンドホールが二つある弦楽器では 金属線やワイヤー、テールコードなどを使用すると点 C、点 D がすばやく近寄ってしまうことで 点 B、点 A の倒れ込みが阻害されてしまい共鳴が失われ易くなることを 私は知っているからです。

そもそもヴァイオリンなどの弦楽器では 黎明期から戦後すぐまでの 430年ほどの間、下写真の 1741年製 ガルネリ・デル・ジェス “Vieuxtemps” のように  当然ですが テールガットが用いられていました。

December 3rd, 2013 article The Economist reported that the purchase price of the “Vieuxtemps” violin exceeded $16 million.

日本円で16億円以上 ‥ 。そして、それを終身貸与されている アン・アキコ・マイヤースさんもテールガットのままで使用されているようです。

現代では新素材などの影響もあり あたかも選択肢は多数あるようにみえますが、私はテールガットは最良の選択だと考えています。

不幸なことに テールガットを ガット弦の不安定性( 上質なしなやかさ )と同じイメージでとらえてしまう方が増えてしまいましたが 実際にテールガットはガット弦と違い 丈夫なのです。

私は TORO社のテールガットを本結び( リーフノットまたはヘラクレスの結び )で 長さの調整をして使用しています。弦楽器に取り付ける場合の技術的な熟練には数年を要しましたが、私はこの製品を使用していて今までほとんど不都合を感じたことがありません。

たとえば強度上の特性はコントラバスにテールガットを取り付けることで確認できましたし、テールガットの長さについては テールピースと駒の距離を適切に選ぶことでテールピースの良好な振動をえらぶことが可能なことを知りました。

私は テールガットは ねじって製造されていることで弦楽器の響胴のねじりをサポートし、それが豊かな共鳴音につながっていると考えています。これは前出の写真のように金属線をねじるより遙かに合理的です。

さて、私は この投稿を 弦楽器工房を営む同業者の方に「 40年程前からテールナイロンの普及によりテールガットを使用している人は少数派となってしまいましたが、 TORO社のテールガットは代理店である ムジカアンティカ湘南( 社名:コースタールトレーディング )で購入出来ますので、是非ためしてみてください。」とお伝えしたくて書いています。

私は 心からテールガットが再び主役の座に帰り着くことを望んでいるのです。


ヒル型テールピース

そこで‥  初めての方には多少は役に立つかもしれないので、ここからテールガット取りつけの実例をあげさせていただきます。

1. ガットのゲージについて

ガットのゲージ( 直径 )ですが 私はヴァイオリンの場合で TORO tail gut No.200 または No.220 を選択しています。このほかに楽器条件によっては Contrabass G string  No.230 を使用する場合があります。

ガットは製造時期などの諸条件でメーカー出荷時から多少規格が変化することがありますので、私は 入荷したガットは30年程前に購入したピラストロ社の直径計測器で確認しています。

これはピラストロ社のガット弦直径検査用なので 計測時の圧力がソフトです。 私はとても気に入っています。
TORO 直径 No.230( Contrabass G string )
PIRASTRO String gauge  46.0

因みにピラストロ社の直径計測器は 目盛りが TORO社の 1/5になっていますが換算は簡単ですね。

なお、この太さのテールガット( No.230 )をヴァイオリンやビオラに使用する場合は、テールピース穴を直径2.3mmのドリルで大きくする必要があります。

TORO 直径 No.220( Viola tail gut )
PIRASTRO String gauge  44 1/2

私も以前は 市販のマイクロメーターを使用していました。
ラチェットストップ付きなので 検査傷はそれほど心配いらないのですが、ガット製品は結構‥ 直径が不揃いですから マイクロメーターのレベルで計測していると心の病に陥りそうなのでやめました。

TORO 直径 No.200( Violin tail gut )
PIRASTRO String gauge  40 3/4

私は 一般的なガット製品は 時間の経過により痩せることを考慮して、この TORO社のヴァイオリン用テールガットのように出荷時は表示より少し太めとされていると推測しています。

このように同じ製品単位( ロット )でも 私は実測して使い分けていますが、その結果はなかなか興味深いものでした。

ゲージに関しては 経験則が必要ですので、まずは計測し記録することから始めてください。


2. 作業のはじめに ガットの長さを決定します 

今回は実例として 2004年製の YAMAHA violin に、 TORO社  No.200( Violin tail gut  / PIRASTRO String gauge  40 3/4 )を取り付けました。

私はこれらのガット製品は入荷時の直径確認後 すぐにトリートメントして保管しています。このため 今回のように使用時は本結びなどの加工がしやすくなっています。

このヴァイオリンのテールピース長は 110.0mm で 依頼された時には駒とテールピースの距離 ( A )が 44.0mm でしたが、私は 52.0mm に設定することにしました。


( A ) を 52.0mm に設定するためには、このヴァイオリンでは ガットをギリギリに短くする必要があります。


私は 結び目が締まって長くなることを考慮してこの長さを選びました。そして後の工程のために マジックでマークをいれました。

3. 本結びにはいります 


決定した長さになるようにガットに折り目をつけながら なるべく結び目が小さくなるように工夫します。


4. テールガット端の処理

テールピースの裏穴規格にもよりますが、私はガット端の熱処理部の長さは ヴァイオリンの場合で 7.0mm 位としています。

では‥ まず 1回目の焼き入れです。

ガット端が熱でやわらかくなっているタイミングで 釘の頭状に成形します。


そして 2回目の焼き入れです。


ガット端は根元付近まで加熱しますが本結び部を傷めないようにしてください。


こんな感じでだいじょうぶです。

ここで反対側のガット端の工程に移ります。長さは おなじく 7.0mm位とします。


こちら側のガット端も 1回目の焼き入れをします。


そして、2回目の焼き入れです。

こちらも、こんな感じに加工します。

5. テールガットを トリートメントします

テールガットの取り付け作業はここから本番のようなものです。
ガット弦やテールガットの愛用者の中には ガットをオイル処理などをした上で使用されている方がいらっしゃいます。

私も そうです。ただし私の場合は オイルではなく 2種類の塗布材を使いトリートメントしています。


この後の締め込み工程のために ここでもう一度トリートメントをしました。

6. 本結びを締め込みます


指のなかでもみ込んだり つまんで引っ張ったり、押し込んだりして、結び目が少しでも小さくなるように工夫します。


この工程は 結構 ‥ 指の力を使います。

7. 仮組工程

ヴァイオリンのテールピースに開けられているテールガット穴部は それほど丈夫ではありません。ガットを絞め込む際には 決して”テコ原理” を使わないでください。

テールピースの材料特性とテールガット穴が開けられた位置によっては、この工程でテールピース穴部が割れてしまうことがあります。


私はこれを避ける為に 不要になった音叉を利用して締め込みをして、最後に本結びがゆるまないように そっと曲げて仮組準備を終わります。

さて、テールガットをエンドピンに架けてみます。私は このテールガットを ( A ) の距離が 52.0mm となるように作業を進めていますが、この段階で駒とテールピースの距離は 54.5mmくらいでした。

8. 最終締め込み工程

さて、いよいよ本結びの仕上がりが見えて来ました。


この工程は指の中の作業なので やはり写真では確認しにくいと思います。とにかく、丁寧にもみ込んだりつまんで引っ張ったり、押し込んだり‥  この頃には指がだいぶん痛くなります。


ところで 私が なぜ締め込みにこだわるかと言うと、このタイプのヴァイオリンでは 楽器がゆれ続ける条件として テールピースがエンドブロック部を強くゆらす必要があると考えているからです。

このことから、私は『 このヴァイオリン 』では ( A )52.0mm  -( B )110.0mm  -( C )1.5 ~ 2.0mmでこの条件が達成できると考えました。そして、このテールピースとサドル距離を 1.5 ~ 2.0 mmに設定しようとすると “ギリギリ感”が大切になってきます。

この工程で 私は テールガット長があと 1.0mm 位は 伸びるように締め込みの努力しています。


それにしても‥ 人間の指はあまり丈夫ではありません。
この段階になると 私はいつも「 手が‥!手がぁぁ~!!」と叫びたくなったりします。


こうして 駒とテールピースの距離は 54.0mm までたどり着きました。

9. 弦張り工程


さて、ここまで来るとテールガットの本結び部は こうなっています。

ここから弦を架けますが その際には ガットの本結び部が表板に接触しないように厚紙を折り重ねたものを挿みます。

そして弦の張力を少しづつあげていきます。この時にはサドルの上にテールピースが引っかかったように乗っていますので、テールピースが破損しないように‥すべらせるような感じでおろします。


今 ‥ このヴァイオリンの弦はチューニングしてあります。
そして 駒とテールピースの距離は 53.5mm です。

10. 仕上がり

枕を入れた状態で30分ほど工夫をして テールガットの本結びが締め込まれました。


そこで、いよいよ枕を外しました。この段階でサドルとテールピースの間や表板とテールピースの空間がしっかり確保されている事をたしかめます。

実例としたテールガット取りつけが終了しました。
こうして駒とテールピースの距離は 52.0mm となりました。


最後になりましたが、今回 参考例とさせていただいた 2004年製の YAMAHA violin にも テールガットは調和していたことをご報告いたします。

16億とはだいぶん違うケタ数の 6万円ほどの このヴァイオリンは響胴が硬い楽器の典型事例のようなものと言えるのではないでしょうか。

アジャスターが 4個取り付けられて初心者に近い方が使用されていますので、私はこのようにしっかり締め込んだ本結びにより 適切なテールガット長として取り付ける事が本当に大切と考えます。

テールガットの取り付け経験が少ない方にとって ガット長の調節が難問でしょうが 、すばらしい響きが持続性をもって設定できると理解されたら 皆さんの判断は速いのでは‥ と 私は思っています。

以上‥ 長文にお付き合い下さって ありがとうございます。

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2017-5-17                 Joseph Naomi Yokota

 

裏板ボトムブロックの端付近も確認してください。

ご存じな方も多いように 弦楽器製作を取り巻く環境は 1980年代後半からとても良くなりました。

デジタルカメラの高性能化、データ処理技術の向上、そしてインターネットの普及などによる情報交換の高速・広域化は 私にとってめまいを感じるほどのスピードでした。

そして 気がつけば  “オールド・バイオリン” などについての資料が容易に集められる時代となっていました。

Giuseppe Guarneri del Gesù  /  The back thickness
VIENNA micro-CT LAB

こうして‥ グアルネリ・デル・ジェズとされるヴァイオリン裏板の厚さをながめたり、ヤコブ・シュタイナーのそれを知ることができる訳ですから 時代とはいえ 不思議なものだと思います。

Jacob Stainer   /  The back thickness

これらの追い風もうけて‥  私は “オールド・バイオリン”の表板、 裏板にみられる響きにつながる要素と そのへりのオーバーハング部に特徴的な加工がしてあること、そしてコーナーブロックの形状は 音響的目的のために関係( Relation )させてあると考えるようになりました。


私は この連続性こそが “オールド・バイオリン” の発音システムの “失われた技術”の正体であると思っています。

左図では 左側角が振動の起点となり奥の角がリレーションすることで「  ゆるみ 」が生まれます。また右図は対称型で 左側角の起点と手前の角がリレーションします。

ヴァイオリンやチェロ、ビオラなどは F字孔周りの振動と 共鳴部の響きによって独特の音色を生みだしています。私は この発音システムが その時に共鳴部に十分な “ゆるみ”を発生させる役割を果たしていると考えるようになりました。


そこで “オールド・バイオリン”などの高性能型を区別するためのチェック・ポイントとして、私は上図 a. の裏板ボトムブロックの端付近( 高音側 )の剛性差を確認することを皆さんにおすすめしたいと思います。

この例として アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられるヴァイオリンと ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) の 1651年製、そして アントニオ・ストラディヴァリの 1733年製から その部分の画像を並べてみました。
左側の アンドレア・アマティ ( ca.1505-1577 ) のヴァイオリンにおける 点 A の剛性差については異論がないと思います。

そして‥ もし判断が分かれるとすると、あとの二台ですね。

これが意図的な剛性差のための加工と確信するには 下図の 赤線辺りが 響胴のねじり軸として機能するとスムーズにゆるみが生じることを理解する必要があるのではないでしょうか。

“Thickness”   G.B. GUADAGNINI ( 1711-1786 )  Cellos
1743年頃 & 1757 年

そのために‥ 少し話がそれて恐縮ですが 下に私の過去の投稿をあげさせていただきます。

【 ヴァイオリンの音は聴くほかにも “見て‥” 知ることが出来ます。】

弦楽器の表板は スプルース材の年輪がたてになるように使用されています。そのため縦に割れやすい特性があり それが影響してこのチェロの魂柱部には縦方向の割れ( Sound post Crack )が入っていて 表面のニスにも 縦方向のひび割れがはいっています。


私はこのニスに入った縦ひび( a. )はバランスが調和していなかったことで歪みが溜まり 表板が疲労した過程できざまれたものと思っています。

では b. c. そして d. のひび割れはなぜ入ったのでしょうか?
私は この年輪に直交するひび割れは チェロやヴァイオリンに設定された音響システムによって入ったものと考えます。

因みに‥ 私がこのように ニスのひび割れと響きを関係づけて考えるようになったのは  2003年 9月29日 の 16:45頃からです。

長くなりますが、ここで その時のお話をさせて下さい。

それは 2週間前まで 11歳の長女が使っていた 1/2サイズのヴァイオリンを 7歳の二女が使いたいと言い張ったので 、その準備として 弦などの交換を検討するために 工房の入り口に立ってこのヴァイオリンを私がチェックしている時のことでした。

風もなく空が晴れわたったおだやかな夕方で 私が立っている工房の入り口には まだ日差しがさしこんでいました。

そのときニスのひび割れが 『 キラッ ! 』と蜘蛛の糸のように光ったのが 私の目にとびこんできました。 それで私は このヴァイオリンの表板と側板にはいった ニスのひびを確認してみました。 はじめは 『  なるほど。 分数ヴァイオリンでも フルサイズとおなじ入り方をするんだ‥‥ 。』と思いながら観察していたのですが、 当時 私が記憶していた他の事例とあまりにも合致していたので 『  これは‥ もしかして! 』と思ったときに 私の顔色は変ったと思います。

それまでニスのひび割れを特に重大なことと思っていなかった私でしたが、このときヴァイオリン響胴の振動モードとそれが きちんと繋がったのです。 私はこのとき『  ヴィジョンが降りてきた‥‥ 。』感覚のなかで 『  いま自分の頭のなかにうかんでいるヴァイオリンのヴィジョンは本当なのかな? 』と 戸惑いながらも楽器の角度を変えたりしながら観察して、もう一度 頭にうかんだ ヴァイオリンの振動モードに誤りがないかを検討しました。

その最中のことです。  私が表板側と側板に気をとられてよくみていなかった 裏板がレイヤー映像のように頭のなかに浮かんだのです。 『  表板がこう振動して側板はブロックによって こう動き‥ということは裏板のここら辺りにこういう形状のニスひびが‥‥ 。』と 私は 独り言をいいながら 裏板を見るために ヴァイオリンをひっくり返しました。

いまでも その瞬間をときどき思い出します。
とにかく感動しました。  私が予測したとおりの形状の小さなニスひび割れが 裏板の推定した位置に 入っていたのです。 おかげさまで 私は 鉱山技師が鉱脈を発見したような 歓びを経験しました。

下の図は そのニスひびを 2005年になって 私のノートに記録したものです。


この時に私がはじめに気がついたのは下幅広部に真横に入っているニスひびが テールピースの下で繋がっておらず 魚のウロコ状のニスひびとなっている事でした。

それで私は このニスひびは ボトムブロックの端付近( 高音側 )の点 a. から ゆれがはじまる”ねじり”によるものと判断したのです。

その証拠に反対側のネックブロック部をみると 点 b. 辺りからブロックのねじりによるニスひびがはいっています。

【  弦楽器のニスに入ったヒビが物語ること‥。】


このような ネックブロックのねじりは上の動画で確認できます。
おそらく撮影の都合だと思いますが鏡像になっていますので ネックブロックは手前側が高音でその奥が低音側となっています。

“Varnish crack”   1970年製     Karl Hofner Cello( 2006年撮影 )

Cittern  /  English  (  Length 616mm – String length 340  )  1600年頃


Cittern by Gasparo da Salo  (  ca.1542 – ca.1609 ) Brescia  1570年頃


Jacob Stainer  ( Absam, Tyrol  )  Bass Tenor Viola da Gamba 1673年

Cello –  Joseph Naomi Yokota ,  Tokyo  2014年

それから 私が上図で – 7.0° としているねじりの軸線は 下にあげさせていただいた アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) が 1679年に製作したヴァイオリンの “サンライズ”の裏板年輪の木取を参考にしました。


私はこれらの仮説と状況証拠によりその楽器が “オールド・バイオリン”の音響システムに基づいているかを確認するために 裏板ボトムブロックの端付近( 高音側 )の”意図的”な剛性差の痕跡を確認することは重要と考えています。


最後に実例として アンドレア・アマティ ( ca.1505-1577 ) が 1566年頃に製作したと考えられるヴァイオリンをあげると‥  裏板へりのオーバーハングの差異は小さかったとしても、点 B. のひび割れを この楽器の特質のひとつと見ることが出来ると思います。

これにより 少なくとも 下に並べた 1555年頃のヴァイオリンと同じ製作者によると考えても違和感はないのではないでしょうか?

このように音響システムの視点を持ちながら 弦楽器を観察すると “オールド・バイオリン” と贋作の違いは 意外と見分けやすいのではないかと 私は思います。

 Gasparo da Salò  /   Violoncello

 

2017-2-09                 Joseph Naomi Yokota

裏板 右回転 21°~23°位置 のオーバーハングについて

 

私は “オールド・バイオリン”の特徴である、へり部分の側板からオーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分があることは音響的に重要と考えています。

 

Andrea Amati  ( ca.1505-1577 ) ,   Violin “Charles Ⅸ”  1566年頃

これは 裏板の焼いた針などでつけられた痕が明瞭なヴァイオリンで確認すると、オーバーハングする設定が “意図的”に少なくされている部分は 直線状の軸線に対応している事からも同意していただけると思います。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

例として アンドレア・アマティのヴァイオリンで確認してみましょう。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

このヴァイオリンは 裏板 右回転 22.4°位置の下端部オーバーハングがかなり削り込まれているようです。

このように “オールド・バイオリン”では ライニングのすぐ近くまで削られたヴァイオリンが何台も存在します。

但し、ここまで削り込む加工がされたものは 16世紀から 19世紀までの弦楽器においてその存在は貴重です。

上図のように ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) や アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) のヴァイオリンでは オーバーハング部の削り込みは外見上の違和感が少ない仕上げとなっています。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin  1555年頃

Nicolò Amati ( 1596–1684  ) ,  Violin 1651年

Antonio Stradivari ( 1644-1737 )  Violin  “Rode – Le Nestor”  1733年

いずれにしても下図のように左下コーナー部で パフリングの外側の幅を確認したあとで 左下部のパフリングの外幅を見てみると、あきらかに差異があることが分るのではないでしょうか。

Francesco Goffriller ( 1692–1750 )    Violin  1719年頃








Francesco Goffriller ( 1692–1750 )    Violin  1719年頃

2017-2-04                 Joseph Naomi Yokota

それが本物の”オールド・バイオリン”でしたら 裏板の マークを確認してください。

 

私は”オールド・バイオリン” の特徴を確認 するときは 裏板駒下部と その左下に焼いた針などでつけられた マークが無いかを調べます。

例えば アントニオ・ストラディヴァリが製作したとされるヴァイオリン “ローデ” の裏板には下写真のような位置に それが見られます。
Antonio Stradivari ( 1644-1737 ),  Violin  “Rode / Le Nestor” 1733年

参考にして頂くために‥ このストラディヴァリウスと クレモナ派の始祖と伝えられる アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられるもの、そして その孫である ニコロ・アマティが その 100年ほど後に製作したヴァイオリンの画像を並べました。

A、点 B は3台とも同じ座標です。

これを観察すると ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) の弟子である アントニオ・ストラディヴァリ ( 1644-1737 ) が アンドレア・アマティ( ca.1505–1577 )の 170年以上も後に、その製作方法を誠実に受け継いでいたことが感じられると思います。

私はこのようにして比較対象をしながら”オールド・バイオリン”の研究を進めました。

そのなかで 、参照のためにあげた アンドレア・アマティが 1555年頃に製作したと考えられる このヴァイオリンが 非常に重要な意味をもっていると考えるようになりました。

Andrea Amati ( ca.1505–1577 ) ,  Violin 1555年頃

なぜなら、この楽器は “オールド・バイオリン” に多数入っている焼いた針などでつけられた痕が直線状の軸線として用いられたことを暗示しているからです。

これらのピン・マークを 高解像度の画像で確認していくと、下の参考写真のように それらが連なる軸線を何本も見出すことができます。

Antonio Stradivari ( 1644-1737 ),  Violin  “Rode / Le Nestor” 1733年

この作業は‥ 満天の星空をながめながら星座を探すのに似ていますが、細かい “点” ではなくもっとはっきりした “工具痕跡” として加工された マークをもつ楽器を参考にすれば ニコロ・アマティ ( 1596–1684  ) が 1651年に製作したとされるヴァイオリンのように 拡大すると細かい “点” が多数見られる楽器でも それほど難しくはありません。

私は それらの マークが連なる線が 正中線に対して右回転、あるいは左回転で何度にあたるかを画像ソフト上で確認して資料化しています。


Nicolò Amati ( 1596–1684  ) violin 1651年

例えば このヴァイオリンの高解像度画像では上のストラディヴァリウスと同じ 右回転 21.6度の位置に 14個の焼いた針痕を見ることができます。

また 私は下図のように 右回転 14.8度と 28.2度にも軸線を見出しました。

同じように観察をしていくと 下写真の アンドレアの息子たちである アントニオと ジローラモの兄弟が製作したとされるヴァイオリンでも 21.6度 には 10個の針痕があるようです。

 Antonio and Hieronymus Amati        Cremona 1629

私は このようにして基礎資料を増やしていきました。
そしてその後の研究により 結局これが”オールド・バイオリン” の発音システムに繋がっていることが解明できました。

Gasparo da Salò  /  Violoncello

そういう事で、これは 弦楽器を鑑定する場合にも強力な状況証拠となり得ますので 私は皆さんにヴァイオリンなどを調べる際は 高解像度の写真を撮影し‥ それを 拡大して焼いた針などで付けられたマークの位置関係を検証することをお奨めいたします。

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2017-2-03                 Joseph Naomi Yokota

私は 弦楽器製作者を目指す人に “デッサン” を推奨します。

 

古い投稿の続きで恐縮ですが、私は 2014年8月27日の
” 私はバイオリン製作者にも “デッサン力” が必要だと思います。”
の文中で デッサンを始めた四女のことをお話ししました。

彼女が初心者としてデッサンをはじめて 2年半ほど経過し、最近は 多少の成長がみとめられるようになりましたので 参考にしていただくために近作を公開することにしました。

先の投稿は私の妻が 18歳だったときのデッサンから話をはじめさせていただきました‥ 。


木炭デッサン (  A.F. YOKOTA  1978年 7月  )

デッサンは古くから絵画や彫刻、デザインや工芸などの創作活動においての基本として大切にされてきました。 これは人間の ” つくる力 “を向上させる‥ すぐれた教育効果が知られているためでした。

この場合の” つくる力 “には 観察する力、考える力、伝える力が含まれています。
つまり 物事を客観的に観察し、その構造を読みとることで課題を見つけ出し、細部にこだわりつつも全体を俯瞰しながら自らのしなやかな感性によった美的なかたちとして答えを導きだし‥ それを展開させる人間力をさします。

私は『 オールド・バイオリン 』を製作した人々も 同じように ” つくる力 “を磨く努力をいとわず、強い意志をもって弦楽器製作に取り組んでいたと信じています。

(  上記の” つくる力 “の定義は 平成27年度入試 東京藝術大学美術学部デザイン科の アドミッション ポリシーより引用させていただきました。)

   

 

デッサンの参考例として 私の妻がまだ 18歳だった 1978年に美術大学受験の訓練として描いた木炭デッサン( 上部 4枚 )と鉛筆デッサン( 下部 4枚 )を あげてみました。

一般社会では 絵が描けると その技術的な要素が着目され それを『 才能 』という言葉で捉えられがちですが、私は デッサンは 強い意志をもって基本から誠実に取り組んでいけば多くの人が上達することが可能と思っています。敢えてその言葉を用いるとすると デッサンが思ったように描ける人は 一定の努力を怠らなかったという点において『 才能のある人 』と言えるかもしれません。


静物 / 木炭デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 7月  )

私達は デッサンの経験を通じて培われた 物の本質を読み解く能力を “デッサン力” と呼んでいます。

鉛筆デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 9月 30日  )
    

静物 / 鉛筆デッサン  (  A.F. YOKOTA  1978年 1月  )

これらのデッサンを描いた私の妻は 美大への進学者としては後発組で、 高校 3年になってから志をたて受験準備のために鎌倉のアトリエに通いはじめたそうです。

因みに 私の場合は、なぜか‥ 小学3年生の秋に親類と家族があつまっていた場所で 『 決めた!僕は将来、画家か彫刻家になる。』と宣言した上で、中学1年生になると石膏像の木炭デッサンに猛烈にはげみました。

お陰さまで私にとって生涯の師である 彫刻家 松永正和先生との幸せな出会いなど、 人とのめぐりあいにも恵まれ ここまで物作りの道を歩んで来ることが出来ました。

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さて本題にもどりますが‥ ヴァイオリンやチェロを製作するためにはアーチのなかに組み込まれた複雑な立体的形状を読み解くために、その特徴を観察し理解する必要があります。

 


Hendrik Jacobs ( 1629-1699 ) violin  1690年頃製作

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私は 現代の弦楽器製作者はある意味では『 オールド・バイオリン 』が製作されていた時代以上の注意深さがもとめられていると感じています。

 



ここで弦楽器製作者の私見として教育論をのべさせていただくと‥ ひとりの人間がどんなに知識を持っていたとしても 実際の仕事の現場で『 気づき 』がなくては『 知恵 』として用いることができません。 私は 物作りの現場で大切なこの『 気づき 』は、学習者が 徹底的な模倣の体験を通じてのみ習得できる能力だと考えます。

私は 若者が大胆にも弦楽器製作者をめざすとしたら‥ それは 結構なことだと思います。しかしそれが果たせるかは 実際の行動にかかっています。大きなことばかりしたがり 小さなことをしたがらない人は‥ 結局、何もできずに終わるでしょう。大きなことを成し遂げる力は小さなことに誠実に取り組み、小さなことから学んだ人だけに与えられるものなのです。

これは ヴァイオリンの誕生と発達をルネサンス後期からの歴史のなかで検証してみると、ギルド制度の枠組みのなか 親方の工房で『 徹底的な模倣 』が誠実におこなわれ、それによって 多くの弦楽器職人が育ったという事実で証明されていると思います。

そういう理由で 私は 物作りを目指す心が定まった人に時間が確保しやすく、感性がやわらかい中学生や高校生などの年齢で 『 小さなこと 』として  “デッサン力” をつけるため近辺のアトリエ等をリサーチのうえで木炭デッサンの初心者コースを受講することをお奨めしています。

因みに‥ 私の高校2年生の娘が はじめてデッサンを体験するために受講したお茶の水美術学院では 2014年度の夏期講習  7月28日から8月2日( 6日間 )の入門コース( 夜間基礎入門 17:00~20:00)の場合で 17,000円 で、次いで8月11日から8月16日に受講した初心者コース( 基礎初心者 A   9:00~16:00 )は 33,000円の受講費で 18名程のクラスで指導をうけました。

ここは東京藝術大学のデザイン科、工芸科の合格実績が全国的に有名で東京芸大受験希望者が多く‥ 木炭デッサン、鉛筆デッサンの経験がまったくなかった私の娘は高校1年生、2年生を対象とした基礎科の初心者・入門コースとはいえ一緒に受講しているまわりの受講生のデッサンにも良い刺激をいただいたようです。

お茶の水美術学院
http://gakuin.ochabi.ac.jp/view/K00100/
基礎部 – 夏期講習
http://gakuin.ochabi.ac.jp/view/L00002/

そして‥ 高校生だったその四女は2年半後の現在 18歳となりました。

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彼女が デッサンを始めて2年後の 今年 7月に描いた鉛筆デッサンがこれです。

この頃から 彼女はデッサンについて 多少は考えられるようになったようです。

そして、それから 4か月程経過した現在は 下の構成デッサン( 鉛筆デッサン    所要時間 8時間15分 )のような段階まで成長しました。

当日の朝に 彼女は 自由課題として 軍手と柿 そして紐を 身近なものからモチーフとして選び、画中でイメージとして構成しました。

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彼女には 描写の上では軍手などの攻め残しは残念だけれど、大胆な構成と鉛筆の特性の使い分けによって空気が描けていることが すばらしいと講評をしておきました。

ともあれ、 私はこれが 四女の仕事としては やっと第一作にたどり着いたものと評価しています。

デッサンの訓練を彼女がはじめたときに 私が予想したように 成長には時間がかかりましたが、お陰様でこれからの成長がより楽しみになりました。

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2016-11-19                Joseph Naomi Yokota

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構成デッサン( 鉛筆デッサン )
モチーフ   :     りんご 1個、アルストロメリア、トレッシングペーパー  1枚

そして、1ヶ月が経過しました。
現在も四女は 鉛筆デッサンでは なかなか 思ったように表現できず苦闘中といったところです。

結局、彼女は このデッサンに 21時間を費やしましたが‥ まだまだ ‥ といった感じですね。でも、これらの試みは「種まき」としては十分ではないでしょうか。

私は これらの試みが 10年後の彼女をささえてくれると信じています。

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2016-12-18                Joseph Naomi Yokota

糸巻きの長さは 弦楽器の響きを左右します。

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Marco Gandolfi,   violin  Cremona  1994年

これは先日 整備のために私の工房に持ち込まれたヴァイオリンのヘッド部です。

私は、この挑戦的なペグは 製作時のままだと判断しました。

なかなか面白いアイデアでしたが 残念ながら 彼が製作した響胴とは調和していませんでした。

それでも‥ 私は このように糸巻きの長さを意識して弦楽器を製作する人を すばらしいと思います。

 

2013-5-04-hところで、糸巻きの役割を皆さんご存知でしょうか。

私は ペグ機構は 単に弦をチューニングしながら固定する役割のほかに、響胴のゆれに積極的に影響をあたえる仕組みとして考案されたと考えています。

これは下の写真のように糸巻きをはずした状態と 4本とも取り付けた状態、それから左側の D線、G線ペグ 2本を取り付けた状態と その逆に右側だけなど いくつか条件を変えて揺らしてみると 響胴部の固さが変わったり 重心位置が移動しますので ‥ 可能な方は 実際にゆらしてみることをおすすめします。

2013-5-04-e-l2013-5-04-f-l2013-5-04-g-l

参考としての実験は こういう感じとなります。

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2013-5-04-h-l
2013-5-04-d-l
糸巻きでヴァイオリンのゆれ方が変わることを確認したら、最後に エンドピンを差し込んでから 同様にヴァイオリンを揺らしてみてください。

ヴァイオリンの重心が手元近くに移動するので、ヴァイオリンが軽くなったように感じるはずです。

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それでは‥ そもそも歴史の上で 糸巻きの長さはどういう変遷をたどったのかをすこし見てみましょう。

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この写真は 1909年頃にユトランド半島の 小さな町 ブレデブロ( Bredebro of Southern Denmark )で撮影されたようです。ここは 1866年にドイツに併合されたドイツ北端の都市フレンスブルク( Flensburg )から北西に30㎞ほど離れた場所です。

下の拡大写真のように 左側の 2人は短い糸巻きで右側の男性は長い糸巻きの楽器を使用しています。写真は 実にわかりやすいですね!

umgegend-von-flensburg-gebraucht-bredebro-1909-verlag-th-thomson-flensburg-i-lこのように 1900年代の初頭に撮影された弦楽器の写真には 長短の糸巻きが混在しています。

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Still-Life with a Violinist      1620年頃

ヴァイオリンの黎明期にさかのぼりますが 1620年頃に製作されたこの油画にも 短い糸巻きを見ることが出来ます。

また 私は 下のような版画にも 十分資料としての価値があると考えています。

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John Gunn   “The Theory and Practice of Fingering the Violoncello”   1789年

それから、この 著名チェリストの肖像画でも糸巻きが短かったことがわかります。

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Bernhard Romberg ( 1767-1841 )  1815年

結論としては‥ 私が調べてみた限りでは 現在のように長い糸巻きが一般化したのは第一次世界大戦以降のようです。

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さて、音響上の証明は残念ながら 実際に設定してみるしかありません。

因みに 私が先日整備のために お預かりしたヴァイオリンの糸巻きは下の写真の設定に変更し響胴の共鳴が起りやすくなりました。

興味がある方は この糸巻きの長さ設定を試してみてください。

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この投稿はここまでです。

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2016-11-09                Joseph Naomi Yokota

 

指板の面取りは 興味深い設定だと思います。

cello-fingerboard-1

1701 ~ 1714年  War of the Spanish Succession
“France : Louis XIV ( 1638-1715 ) × Habsburg : Karl VI ( 1685-1740 )”

●  Cremona governance countries
España ( 1513 ~ 1524, 1526 ~ 1701 ) – France (  1701 ~ 1702 ) –  Republik Österreich / Habsburg  ( 1707 ~ 1848 )
●  Casa Savoia :  1713年 Regno di Sicilia – 1720年 Regno di Sardegna  / Torino – 1848年 The First War of Independence – 1859年 The Second War of Independence –  1866年 The Third War of Independence

 

● Luigi Rodolfo Boccherini ( 1743-1805 ), 1743 Lucca / 1757 Vienna  “The court employed” / 1761 Madrid / 1771 String Quintet Op. 11  No. 5 ( G 275 ) :   Italian cellist and composer 

Marie Antoinette ( 1755-1793.10.16 )
1770年  She married  Louis-Auguste ( 1754-1793.1.21 )  /  ” Louis XVI ( 1774 ) “  at the age of 14.
1793年  ” Louis XVI ” ( 1774 )  /  Louis-Auguste ( 1754-1793.1.21 )  

●  Johann Peter Salomon ( 1745-1815 ), Bonn / Prussia / ca.1780 London / 1791 ~ 1792, 1794 ~ 1795 Franz Joseph Haydn  :  Violinist

□  François-Xavier Tourte ( 1747-1835),  Paris :   Bow maker

●  Carl Stamitz ( 1745-1801 ), Mannheim / 1762 Mannheim palace orchestra / 1770 Paris / Praha, London  :  Violinist

●  Johann Anton Stamitz ( 1754 – ‥ ), Mannheim / 1770 Paris / 1782 ~ 1789 Versailles / ‘ 1798‥1809 Paris ‘  :   Violinist

■  Giovanni Battista Ceruti  ( 1755-1817 ) , Cremona  :  Violin maker.

●  Giovanni Battista Viotti ( 1755-1824 ), Fontanetto Po / Torino, Paris, Versailles, 1788 Paris, London, 1819-1821 Paris,  London :   Violinist

●  Federigo Fiorillo ( 1755-1823 ),  Braunschweig / 1780 Poland / 1783 Riga / Paris / 1788 London  He played the viola in Saloman’s quartet.  / 1873 Amsterdam, Paris

●  Wolfgang Amadeus Mozart ( 1756-1791 ), Salzburg / 1762 München, Wien / 1763 ~ 1766 Frankfurt, Paris, London / 1767 ~ 1769 Wien / 1769 ~ 1771 Milano, Bologna, Roma, Napoli / 1773, 1774 ~ 1775 Wien / 1777 München, Mannheim, Augsburg / 1778 Paris / 1779 Salzburg / 1781 München, Wien / 1783  Salzburg  / 1787 Praha, Wien / 1789 Berlin / 1790 Frankfurt / 1791 Wien, Praha, Wien

ドイツのチェリスト  ベルンハルト・ロンベルクは 父親と共に1790年頃に ボンにおいて ケルン大司教の宮廷オーケストラに参加したとされています。そして そこで知り合ったベートーヴェンの ‘ あなたのためにチェロ協奏曲を作曲する。 ‘という申し出を断った逸話が残る人です。

ロンベルクは、チェロの設計と演奏にいくつかの革新をもたらしたことでも知られています。

例えば 1/2 や 3/4サイズのチェロを作るべきであると提案したことやチェロの記譜法の単純化などがそうですが、弦楽器にとってはなんといっても チェロの指板にフラット面を設定したことが重要だと私は思います。

このアイデアに関しては 演奏上の目的などいくつかの説明が試みられていますが、私の個人的な推測としては ネック振り設定と 指板裏加工の考え方を反映したものと思っています。

皆さんは どうお考えでしょうか?

 

●  Bernhard Heinrich Romberg  ( 1767-1841 ),   “The Münster Court Orchestra” / 1790 Bonn  “The Court Orchestra” /  He lengthened the cello’s fingerboard and ‘Flattened’ the side under the C string  :   German cellist and composer 

●  Rodolphe Kreutzer ( 1766-1831 ), Versailles / 1803 Wien “Kreutzer Sonata ” Ludwig van Beethoven 1770-1827,  Paris 1795 ~ 1826 ‘Conservatoire de Paris’ –  1796年 Caprices – 1807 comprises 40 pieces – “42 Études ou Caprices”  / Genève, Swiss :   Violinist

●  Pierre Baillot ( 1771-1842 ),  Paris :   Violinist

●  Pierre Rode ( 1774-1830 ), Bordeaux / 1787 Paris /  1804 Saint Petersburg, Moscow / 1812 Wien ” Ludwig van Beethoven 1770-1827  Violinsonate Nr. 10 in G-Dur, Op. 96 ” / 1814 ~ 1819年  Berlin,  “24 capricci”  /  1830 Lot-et-Garonne :   Violinist

●  August Duranowski ( ca.1770-1834 ), Warsaw / Paris / 1790 Brussels / Strasbourg :   Violinist

●  Ignaz Schuppanzigh ( 1776-1830 ), Vienna /  He gave violin lessons to Beethoven, and they remained friends until Beethoven’s death.  :  “Schuppanzigh Quartet”  :   Violinist

 

 

2016-11-02               Joseph Naomi Yokota