May 6, 2025 12:19

満月になる1日前の”14番目の月”を眺めるような作業です。弦をゆらし、響きを確認しながら…  響胴の中にあるネック・ブロック付近にあたる裏板を削り込んでいます。

基本は響胴の”ねじり”の調整ですので、多少は下部のエンドピン・ブロック部裏板にも工夫を加えますが、メインは上部です。

この工程で”このチェロの響き”を決定します。ですから、難易度が最も高い作業と言えるかもしれません。

“The final adjustment zone for the sound”
The cello is carved in while being played.

Guarneri del Gesù ( 1698-1744 ) Violoncello, “Messeas” 1731年

This is the “finishing process” of the initial plan.

May 7, 2025  10:59

私は、表板や裏板を 多層構造のペンデンティブドームの集合体と見なし、下層のペンデンティブと 上層ドーム の接合部窪み等で上図点A、点Bのように 任意の対とする工夫で その付近の剛性が下げられ、ネジリが誘導されていると理解しています。

オールド弦楽器では ドーム部が 響胴のねじりを阻害しないように 中央から微妙にずらしてあり、このような音響加工は その不連続面の合成線である谷線や、尾根線上などの要所に見ることができます。

Andrea Guarneri ( 1623-1698 ) Violin

“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 )   Cello “Messeas”, Cremona 1731年

“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 )   Cello “Messeas”, Cremona 1731年

Nicola Gagliano ( ca.1710-1787 )  Violin,  Napoli 1737年

Giovanni Francesco Pressenda ( 1777-1854 ) Violin, Turin  1837年

Santo Serafin ( 1699-1776 ) Violin, Venice 1720年

Santo Serafin ( 1699-1776 ) Violin, Venice 1720年

“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 )   Cello “Messeas”, Cremona 1731年

Nicola Gagliano ( ca.1710-1787 )  Violin,  Napoli 1737年

ですから、一見すると不可解とも思える アーチの不連続形状や、これらの加熱した治具などでつけられたキズは 塗装直前の最終段階で、演奏しながら… 響きやバランスを検討して施されたものと考えます。

“Old Italian Cello” 1700年頃 (  F. 734-348-230-432 /  B. 735-349-225-430 / stop 403 / ff 100-167-231 )

 

Joseph Naomi Yokota