満月になる1日前の”14番目の月”を眺めるような作業です。弦をゆらし、響きを確認しながら… 響胴の中にあるネック・ブロック付近にあたる裏板を削り込んでいます。
基本は響胴の”ねじり”の調整ですので、多少は下部のエンドピン・ブロック部裏板にも工夫を加えますが、メインは上部です。
この工程で”このチェロの響き”を決定します。ですから、難易度が最も高い作業と言えるかもしれません。
“The final adjustment zone for the sound”
The cello is carved in while being played.
Guarneri del Gesù ( 1698-1744 ) Violoncello, “Messeas” 1731年
This is the “finishing process” of the initial plan.
May 7, 2025 10:59
私は、表板や裏板を 多層構造のペンデンティブドームの集合体と見なし、下層のペンデンティブと 上層ドーム の接合部に 窪み等で上図点A、点Bのように 任意の対とする工夫で その付近の剛性が下げられ、ネジリが誘導されていると理解しています。
オールド弦楽器では ドーム部が 響胴のねじりを阻害しないように 中央から微妙にずらしてあり、このような音響加工は その不連続面の合成線である谷線や、尾根線上などの要所に見ることができます。
Andrea Guarneri ( 1623-1698 ) Violin
“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 ) Cello “Messeas”, Cremona 1731年
“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 ) Cello “Messeas”, Cremona 1731年
Nicola Gagliano ( ca.1710-1787 ) Violin, Napoli 1737年
Giovanni Francesco Pressenda ( 1777-1854 ) Violin, Turin 1837年
Santo Serafin ( 1699-1776 ) Violin, Venice 1720年
Santo Serafin ( 1699-1776 ) Violin, Venice 1720年
“Guarneri del Gesù”( 1698-1744 ) Cello “Messeas”, Cremona 1731年
Nicola Gagliano ( ca.1710-1787 ) Violin, Napoli 1737年
ですから、一見すると不可解とも思える アーチの不連続形状や、これらの加熱した治具などでつけられたキズは 塗装直前の最終段階で、演奏しながら… 響きやバランスを検討して施されたものと考えます。
“Old Italian Cello” 1700年頃 ( F. 734-348-230-432 / B. 735-349-225-430 / stop 403 / ff 100-167-231 )
Joseph Naomi Yokota