つり合いという現象

私は 弦楽器製作と 修理や調整をおこなっていますので、それらの特性やバランスをイメージするために 弦楽器のジャンルをこえた さまざまな事象の記憶を大切にしています。

たとえば 私が大学生だった 36年ほど前にはじめて目にして 感銘を受けた下の写真もそうです。

皆さんは このブロー・ノックス・デュアル・キャンチレバー・タワー 、別名 ダイヤモンド・アンテナ( Blaw-Knox dual cantilevered towers /  “Diamond antenna” )をご存じでしょうか。


これは 1933年にハンガリー・ブタペスト( Lakihegy )に建設された ダイヤモンド・アンテナを撮影したものといわれています。

この塔の高さは 314.0m もあり建設当時はヨーロッパで最も高い構造物だったようです。ライバルである エッフェル塔は 1889年の竣工時は『 世界一 』の高さを誇っていましたが 旗部を含んでも 312.3m でしたので 抜かれたわけですね。

因みに‥ エッフェル塔は 1940年代になって放送用アンテナが設置された事で結果として 現在の 324.0m になりました。

1933年にこの ダイヤモンド・アンテナ( Lakihegy )が竣工した時点ではすでに エッフェル塔が保持していた『 世界一 』の座は ニューヨークにある クライスラー・ビルなどに奪われていましたが、ヨーロッパ地域ではエッフェル塔が最も高い建造物とされていました。

クライスラー・ビルは 1930年 にマンハッタン・カンパニー・ビル( トランプ・ビル )の 284.0m を抜く 319.0m( 283.0m )として竣工しました。 しかし その翌年の1931年にエンパイア・ステート・ビルディング( 381.0m –  1950’s 電波塔増設  443.2m  )が完成した事によりひとまずこの競争は終結したかのような状況となっていました。

 


私には これらの建築物が長期間にわたって自らの荷重や強風、落雷などの影響を克服していることがとても興味深く思えます。

具体的に見ていくと‥ 高さ314.0mの ダイヤモンド・アンテナ( Lakihegy )と 312.3mの エッフェル塔のどちらも基礎には大きな荷重をささえる工夫がされています。

とくにエッフェル塔は おおよそ4000t といわれている東京タワーの2倍位はあるそうです。資料集ではエッフェル塔は材料の錬鉄だけで約7300t とされ、すべて合わせると約9700t から10,000t と推定されています。


この高さと重さを支えるために基部は4脚あわせると そこそこの面積が確保されているのが上の写真からもご理解いただけると思います。

 

また‥  エッフェル塔の基礎部分には面積のほかにも慎重な配慮がなされています。とくに軟弱な地盤であるセーヌ川に面する2脚の基礎工事には 1841年にロワール川の砂洲でフランスの M.トリジェールが世界ではじめて鉄筒( 鉄製ケーソン )と圧気を利用し20mの深さまで掘削・沈設に成功し その後 改良された『  潜函工法(ニューマチック・ケーソン) 』が採用されました。

  

この工法はアメリカ合衆国 セントルイスで 1874年に完成した イーズ橋や 1883年竣工のブルックリン橋 主塔基礎工事、そして1890年に建設されたイギリスのフォース鉄道橋の基礎などでも採用されました。

エッフェル塔は この潜函工法が優れていたことと、塔の基部に水平に保つためのジャッキが組み込まれたことなど‥ 多くの工夫により工期2年2ヶ月と5日で竣工したそうです。

さて‥ もう一方の ブロー・ノックス社が建設した ダイヤモンド・アンテナの場合にも その独特なフレキシブル・ベースには過酷な荷重がかかっています。

   

 

なお、1933年にハンガリー・ブタペスト( Lakihegy ) に 竣工した 初代のダイヤモンド・アンテナ  は 戦時下でドイツ軍により破壊されたため、現在のダイヤモンド・アンテナは 1946年に再建されたものです。

下の図面は アメリカで 1933年に 取得された  ダイヤモンド・アンテナ( Blaw Knox-Antenne )の特許(  USA, No.1897373 )の公開図面で、発明者の Nicholas Gerten さんはペンシルバニア州 ピッツバーグにあるブロー・ノックス社の社員とのことです。

1927年頃にこの構造からはじまったブロー・ノックス・アンテナは改良を重ね 1931年頃には冒頭の写真にあるタイプとなり 1936年の特許( U.S., No. 2116368 the inventors Edward J. Staubitz )のころには全米各地で盛んに建設されました。

それは 1958年にブロー・ノックス社がこの部門を廃止するまで続いたそうです。

 

この設計図のベース部はゆれにくい構造だったようですので、私は 強風や落雷などの影響で初期フレキシブル・ベースは破損が生じたり、想定以上にタワー部がゆれたりして‥ 設計変更がおこなわれたと推測しています。

因みに 1933年に製作されたこの図面に近いのは ノースカロライナ州シャーロットの WBT- AM ラジオアンテナです。

このブロー・ノックス・アンテナは高さ 130.0m( 428 ft ) だそうです。


These towers come down to a small point at the bottom.

設置時から3本で 中央がオリジナル、 左右のアンテナは 1989年9月22日のハリケーン被害により再建されました。

WBT tower :  Charlotte, North Carolina / Three towers 130 m each.

September 22, 1989  :   WBT transmitter towers just after Hurricane Hugo.

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[ 恐縮ですが ここから書かけです。]


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落雷
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1936年 Radio transmitter in Belfast, Northern Ireland  ( 54°29’23” N, 06°03’37” W  –  Elevation / Airde  44.3 m )Tower height  108 m( 354 ft )← 144.8m( 475 ft )

The height of a Blaw-Knox radiator is related to the frequency( or wavelength ) of the service transmitted, and for maximum efficiency should be exactly one half wavelength. Its height was originally 144.8 m, but it was shortened when the station’s broadcast frequency was changed.

Similar masts in Europe can be found nowadays only at Lakihegy, Hungary, at Riga, Latvia, at Vakarel, Bulgaria and at Stara Zagora, Bulgaria; in the US: WFEA tower in Manchester, New Hampshire, WBT-AM tower in Charlotte, North Carolina, WSM-AM tower in Nashville, Tennessee, WLW-AM tower in Cincinnati, Ohio

それから ”Lakihegy” タワーが 314.0m ( 1,031 ft )で竣工した翌年である 1934年にアメリカ・オハイオ州 メイソンに WLWアンテナとして建設されたブロー・ノックス・タワーも参考事例としてあげておきたいと思います。WSMのブロウ・ノックス・タワー

WLWアンテナは高さが 831フィートで竣工し その後の事情で 747フィートに改造されて現在にいたります。そのアンテナ重量は 約 136t だそうです。



上部にある “ダイヤモンド・アンテナ” のおよそ 136t の荷重はこのフレキシブル・ベースの一点で支えられています。このために台座側は 300t 以上の負荷がかかっても破損しないように設計されているそうです。




現在、北アメリカにはブロー・ノックス社が建設した “ダイヤモンド・アンテナ” が 8基残されています。
その中で最も高いのが 1932年にテネシー州ナッシュビル郊外にWSMラジオ・タワーとして竣工した下の写真の塔で、竣工時には高さが 878フィートあったそうです。
これは1939年に受信状況を改善するために 246m( 808フィート)に改築され現在に至っています。このラジオ・タワーの建設以降 ブロー・ノックス社は全米各地からの受注が相次ぎます。 こうして10年後の 1942年には米国内のすべてのラジオ塔の70%がブロー・ノックス社が建設したものという状況を生みます。


   

このWSMラジオ・タワーは 計算値で 約300t の重さとされ、それを支えるベース・インシュレーター( porcelain insulators / 磁器ガイシ )は600tまで耐えられるように設計してあるそうです。

因みに 1932年10月にブロー・ノックス社  “ダイヤモンド・アンテナ 建設チーム” はテネシー州ナッシュビル郊外でこのWSMラジオ・タワーを竣工させるとすぐに 前出のオハイオ州メイソンにあるWLWラジオ・タワーの建設現場に移動し1934年4月14日には それを完成させていますので、工期は1年5ヶ月といったところのようです。


私はこの”ダイヤモンド・タワー( Blaw Knox-Antenne ) “のつり合い方やゆれ方‥なかでも回転運動などの要素が ヴァイオリンと類似していると思っています。
あご当ても含んだヴァイオリンの重さは およそ450g位で全長が590mm前後なのに対し、WSMラジオ・タワーの 300t ほどの質量と 246mの高さは直接比較してもあまり意味はないと思いますが、力学的に考えてみると‥ いろいろ思い当たる事柄があるからです。私は “ダイヤモンド・タワー “の写真を見たときから『 ヴァイオリンの質量の中心はどの位置におかれたか?』について考え‥ 現在も その検証を続けています。

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下のリンクは Tobias Hutzler – ” BALANCE  / バランス・パフォーマンス” です。
(  5分44秒 )

節を重心近くに集めれば、操縦の特性はよくなります。

つり合いという現象

 

 

大型旅客機の重心位置は機体のどの辺にあるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B747 を例に取りますと重心位置は MAC(Mean Aerodynamic Chord:平均空力翼弦)の 10~31% の間に維持しておかねばなりません。MAC の翼弦長は 327.8inch ですので、その 21% は 68.8inch=1.75m となり、重心位置の許容範囲は大型機でも意外と狭い言えます。その位置は赤い線で示しました前から3番目のドアの所になります。

また重心位置を挟むように重量物である前後のエンジンが配置されてるのが分かると思います。
因みに人間が一人、一番前の席から一番後ろの席まで移動しますと重心位置が約12mm 変化します。

重心位置は離陸時の Stabilizer Trim Setting にも関係しますが、B747 にはノーズギアにセンサーが付いてまして、重心位置が前寄りにあるのか後ろ寄りにあるのかを感知しております。その測定結果と Stabilizer Trim Setting の間に矛盾があると警報を発します。

よほど偏った乗り方をしない限り乗客や燃料による重心位置の変化はそれほどではありませんので、重心位置の調整は主として貨物で行っております。

時々貨物の搭載場所を変えて調整したりしておりますので貨物の搭載管理もなかなか大変な仕事のようです。

【スネーキング現象の特徴】

スネーキング現象とは急制動や速度超過などをきっかけにヒッチボールを
支点として連結車両が屈曲運動を起こして操縦不能になる現象のことで
キャンピングトレーラーなどに起こりやすい現象のこと。
一度起こってしまうと道路に横倒しに横転してしまって2次的にも
重大事故になりがちな傾向があります。
ことが非常に多い危険な事象のことです。
名前の由来はその時のトレーラーの状態が蛇のようにうねって
蛇行運転状態にあることからそのように呼ばれています。