19. 高音を強く歌わせる技術

 

 

 

これは 2007年にクレモナで開催された展示会カタログ ” Andrea Amati Opera Omnia – Les violons du roi  ISBN-10 88-89839-12-0 より 119ページのアンドレア・アマティ( c. 1505 ~ 1577 ) です。 裏板胴長は 354ミリで ストップが192ミリのすばらしいヴァイオリンです。 この楽器のF字孔外側部をよく見ると ギザギザ状に木が継ぎ足してあります。 F字孔にこの加工がしてある弦楽器は非常に数がすくないのでこのヴァイオリンは重要な一台です。

次のチェック・ポイントは 前のページの振動波を整える技術の最高レベルの技の痕跡です。  そこで19ヶ所目のチェック・ポイントは 『 F字孔の周りに木が継ぎ足してないかを確認してください。』 です。 前のページで ″ 物理現象 ″ を思い起こしていただければ 『 点Dの振動を強化する特別な加工 』 の意味をご理解していただけるのではないかと思います。

先ほど シーツやタオルを用いた実験のお話しをしました。 その中で 「 点Bを持つ手を上下に振ると …」 と表現しましたが、 これを 『 点Bを持つ手を激しく上下に振ると … 』 の仕掛けとして取り込んだのが 上の写真のように 線BCの側に ″ バネ的に動く ″ 木を接いだ弦楽器です。 因みにこの楽器は はじめにあげたヴァイオリンと同じく 2007年にクレモナで催された展示会のカタログ ″ Andrea Amati OPERA Omnia ″ の125ページから Andrea Amati ( c. 1505 ~ 1577 ) ” Tenor viola reduced ” を引用させていただきました。 これはおおよそ 1536年から77年ごろに制作された楽器とされています。  美しい響きを得るために この加工をした弦楽器は検証が容易なので いくつか例示したいと思います。