14. オールド・ヴァイオリンの製作技法 ( How to make “High performance stringed instruments”. )

●    弦楽器が”テンセグリティ構造”であるということ

ヴァイオリンやチェロの響きは、弦からではなく 響胴内部の共鳴から生じています。それを 振動系として表現すれば、振動する演奏弦、音叉は駆動部で、響胴、共鳴箱は従動部として構成されています。

現在 製作されているヴァイオリンなどは このシステム解釈から混乱しているようです。

私は、弦楽器には”テンセグリティ構造”が採用されていると考えています。”テンセグリティ”とは、張力系と圧縮系が連携して安定性を生み出すシステムです。

その視点から弦楽器のレゾナンスを検証すると、多くの状況証拠がみつかります。

それから 表板は、駆動軸(ブリッジと魂柱)との接触点で弦も含めた”外側”の構造に挟まれているとイメージしてみてください。この設定により、表板が”圧力”から解放され「共鳴する基礎条件」が整うという仮説が理解できると思います。

そして その先を考えると、駒に求められる条件や 魂柱の位置取りの意味が分かるのではないでしょうか。

Jacob Stainer( 1617-1683 ) Violin,  Absam

たとえば響胴に調和する駒を製作しようと試みるとき、私は 駒左右の外側距離( 下赤矢印の幅 )をプランニングすることから始めます。

駒足幅はF字孔間に丁度適合することが重要なわけですから、チェロ 92mmとか 94mm、あるいはヴァイオリン 41mm、42mmなどと 数字を前提とすることはありません。

また、この段階で中のバスバー設定を再度確認して “直交角度”と F字孔の設定条件の 3要素をすり合わせます。


November 22, 2013  Violin Bridge  /  JIYUGAOKA VIOLIN

November 20, 2025  Violin Bridge  /  JIYUGAOKA VIOLIN
This bridge is standing on the video violin.

The bridge for the cello is finished.


2023.6.08  “JIYUGAOKA VIOLIN”, Cello Bridge.

私は、皆さんに‥ 私自身が 過去に試みた実証実験をお勧めしています。

それは、市販のチェロ駒で ハート穴の中央に垂れている “Heart wing” 狭隘部( 下右図 P幅 )を 揺らしてみては少し削り込む作業を繰り返しながら2.9mm以下まで削るものです。

市販のチェロ駒 “AUBERT-DE LUXE” フレンチ・モデルは初めは( 下左 4.5mm / 23.4g  )『軽く感じる駒』なのですが、弦高を合わせてから( 16.8g )、”Heart wing”狭隘部の削り込みを重ねる度に、次第に 水平に保持した指に感じる重さが増していき ます。( 下中央 2.4mm / 14.9g )

実際の質量は 削った分だけ軽くなっていく訳ですが、水平に保持した時の印象が 逆に『重く感じる駒』に変化していきます。

   
2023.6.08  “JIYUGAOKA VIOLIN”, Cello Bridge.

駒を削る技術は”木”と対話し その個性を活かすことが重要で、それは一本の年輪( 赤線 )を、どの位置で終わらせ、この年輪が作用しない区間 A-Bを その年輪全長の どの位置に置き、対となる残された年輪C側と 年輪D側の長さの差や、その下に連なる足部にどのようなキャラクターを与えるかという発想から展開されるものだと思います。

先ずは、駒を揺らして得られたイメージから推測し、たとえば 年輪が作用しない区間 A-Bの距離条件に置き換え、『この年輪を あと0.2mm削って、点Aを左に移動し年輪が切除された区間を13.8mmまで広げて、ねじりを増やそう・・ 』などと構想しながら作業を進めると音響的に優れた駒に辿りつけるようです。

 

4 July, 1851  Violin bridge  “Paganini’s Bridge from – il Cannone”

Circa 1880.  Violin bridge “John Marshall ( 1844-1918 ), Aberdeen” 左右反転画像

Circa 1888.  Violin bridge “Hammig shop, Berlin”

Circa 1900.   Violin Bridge  /  Francesco Guadagnini (1863-1948 )

Circa 1924.  Violin bridge  /  Evasio Emilio Guerra( 1875-1956 )

Circa 1930.   Violín Bridge

テンセグリティ構造(Tensegrity : Tension(張力)とIntegrity(統合)という言葉を合わせた造語で、圧縮力と張力のつり合いによって構造が安定するシステムのことです。人体もそうであるように、動的平衡の状態がたもちやすく、回転中心から 少しの力をはたらかせるだけで 対となる”もう一方”の初動がすばやくなります。
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▶  15.   バスバーについての考察