裏板の製作工程

これは 2012年に私が製作したヴァイオリンの裏板です。

私が 2013年に着手したチェロの裏板は これらのヴァイオリンで学んだ要素をかなり反映させました。

2013年10月1日 チェロ裏板 外側アーチ部粗削り終了

ただし‥ チェロは ヴァイオリンの4倍、或いは 8倍程の面積や体積がありますので、削れば消える軸線を鉛筆で書き込み続けるだけでも大変です。

因みに、Giovanni Battista Guadagnini ( 1711-1786 ) が 1743年頃製作したチェロ “Ngeringa”  Piacenza は 総重量 2456g ( Front 716.8 – 338.8 – 231.2 – 425.9 / Back 716.6 – 340 – 228.7 – 423.3 / Stop 391.0 )は、表板の重さ 387g  ( アーチ 25.4mm ) –  裏板の重さ 482g ( アーチ 30.9mm )。

同じく G.B. Guadagnini の 1757年製チェロ “Teschenmacher”  Milan は 総重量 2584g ( Front 717.0 – 339.3 – 247.1 – 420.9 / Back 712.2 – 332.7 – 237 – 419 / Stop 391.1 )では、表板の重さ 319g ( アーチ 28.4mm ) –  裏板の重さ 464g ( アーチ 36.4mm ) とされています。

私は このようなオールド・チェロを参照にしましたので、この時 製作したチェロの表板は バスバー無しの白木状態で 350g以下で、裏板は 550g以下、側板部が 500g以下とバランスを定めて作業を進めました。

このため、その工程で剛性に関する問題も解決する必要を抱えることになりました。

また、最終的には箱状になりますので 裏板、表板ともパフリングより外側の縁部が側板とリレーションし易いように、側板に合わせた状態でアーチの削り込みや 縁の厚さの調整が必要でした。

2014年1月5日 チェロ裏板外側のアーチ部で削り込みによって消えた軸線を書き込んでいるところです。

因みに、私は 軸線設定が狂わないように、このチェロ専用の裏板外型枠を製作しました。

2014年2月6日 この裏板 ( アーチ 32.6mm ) は 外側削りの仕上がり重量が 1900g でした。

2014年8月4日 この裏板は重さが 528g となり駆動性も良い状態で仕上がりました。